米国のアフガニスタン政策とは
★★★上級者向け記事
バイデン政権「暫定ガイダンス」
アフガニスタン情勢は早くも8月26日のIS「イスラム国」によるカブール国際空港周辺での自爆テロ(米軍人13名、タリバン28名を含む200人超の死者と数百名の負傷者)によって、新たな展開へと駒が動いた。
しかも米国自体が、こうしたテロの可能性に重ねて言及し、最大級の厳戒態勢にありながら起こったのであるから、如何に「テロとの闘い」が難しいかを知らしめることになった。
ベトナム戦争でサイゴン陥落の再来と、米バイデン大統領が戦いに惨敗して秩序なく逃げる姿を非難する米メディアが目立つも、バイデン政権の対中東政策に沿ったアフガン撤退であり、撤退を先延ばししても「名誉ある撤退」を演じることは不可能だったのであろう。
2021年3月にホワイトハウスが公表した「暫定国家安全保障戦略ガイダンス」(以下、暫定ガイダンスと略記)の中で、バイデン政権の対中東外交、安保政策の方向性が示されているゆえ、分析しておこう。
暫定ガイダンスによると、米国は引き続きイスラエルの安全に対する確固たるコミットメントを維持し、パレスチナを含む実行可能な二国家建設による解決を目指してイスラエルと近隣アラブ諸国の共存を促進する推進者としての役割を再開し、
また、地域の友好国と協力してイランの侵略や主権と領土保全への脅威を抑止するとともに、アルカイダと関連するテロリスト・ネットワークを混乱させ、イラクとシリアのIS(イスラム国)の復活を防ぎ、人道的危機に対処し、地域の安全を脅かす複雑な武力紛争を解決するための努力を倍増させると述べている。
しかしまた、バイデン政権は軍事力がこの地域の課題に対する答えであるとは信じておらず、中東の友好国が米国の利益と価値に調和しない政策を追求するための白紙権限を与えるつもりはないとして、イエメンでの攻撃的な軍事作戦への支援を撤回し、国連による戦争終結努力を後援するとした。
これは、2015年3月から続くサウジの対イエメン軍事介入政策に対する痛烈な批判を含んでいると考えられ、バイデン政権の目的が地域の緊張を緩和することと中東の人々が彼らの願望を実現するための余地を作ることにあると述べている。
中東における9.11テロ事件(2001年)以来の米国の過剰な軍事コミットメントをバイデン政権が見直そうとしていることは、暫定ガイダンスに明記されている。
安全保障環境に合致する強力な軍隊を持つことは、決定的な米国の利点であるとしながらも、米国の利益を世界的に前進させるために最初に用いる手段としては外交を推進し、国防と軍隊の責任ある使用に関してバイデン政権が賢明で、規律ある選択をするつもりであることをわざわざ太字で強調している。
さらには具体的に、米国は数千の人名と数兆ドルの費用がかかる「永遠の戦争」に従事すべきではなく、またそうしないとして、アフガニスタンが再び米国に対するテロリストの攻撃の安全な避難所にならないようにしながら新政権が責任をもって、アフガニスタンでの米国最長の戦争を終わらせるために働くとしている。
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(この記事は 2021年8月29日に書かれたものです)