おいしい不動産投資にする方法
不動産投資で失敗してしまう要因
自分の資金力以上の買い物はNG
その答えは簡単です。自分の資金力以上の買い物をするからです。
例えば、貯金がない方がフルローン・オーバーローンで不動産投資をすると失敗してしまいます。とても不思議なのが、「貯金がないです」という方でも、銀行が融資してしまうのです。
ちゃんと働いて職がある方には、年収の10倍くらい平気でお金を貸してくれますから、そうすると借りられるので買ってしまう。ですが、ちょっと空室が続いたりするとすぐ赤字になるので、貯金がないとそこで破滅してしまいます。もうその時点で、破産しかなくなってしまうので、自分の資金力以上の買い物はしてはいけません。
皆さん現金を持っていれば、フルローンを組んでもオーバーローンで組んでもかまいません。
今の時期なら1%前後と本当に金利が低いので、その金利を有効活用して、自分で持っている現金を置いておいて、フルローンを組んでもいいし、オーバーローンにしてもいいのです。ただし、何かあった時に現金ですぐに補填できるという確実な備えがある場合に限ります。
資金力以上の買い物をしてしまう要因
今の資金力以上の買い物をしてしまう方が、なぜそのような買い物をしてしまうのか?それについては、勉強不足が要因です。勉強不足なので、不動産業者の言いなりで買ってしまうのです。この勉強不足の中には、シミュレーションができないからということも含んでいます。
結局自分の手残りがいくらなのかという計算ができないので、資金力以上の買い物をしてしまいます。
加えて、今投資家のセミナーなどで流行っている、担当者の「頭金なしで儲かる」という言葉に乗せられてしまうのです。そんなにおいしい話は世の中にはありません。株にしても、FXにしても、なんにしてもそうですが、そういう頭金なしで儲かるという言葉に乗せられてはいけないということです。
適切なアドバイスをする指導者が必要
あとは、適切なアドバイスをする指導者がいないという点もあります。不動産業界は、特にそうです。本当に親身になってアドバイスしてくれる方が少ないのです。そういう方を見つけていかなくてはいけないということです。
不動産の世界は本当に特殊で、仲介手数料が3%プラス6万円なので、例えば一億円の物件だと手数料300万円を手にします。例えば10億円不動産を仲介すると手数料3000万円なので、どうしてもそこで色々な思惑などがあって、本当に誠実な不動産会社もたくさんいるものの、なかなか表に出てこなくて騙されてしまう場合が多いです。
不動産投資で失敗しないために必要なこと
それでは、不動産投資で失敗しないためにはどのようにすればよいのでしょうか?
不動産投資の常識を疑う
不動産投資の常識を疑うということが、重要だと思います。
巷で言われている不動産投資の常識
・利回りはできるだけ高いものを買う
・ローンを活用して効率の良い投資をする
・利回りの高い地方に投資をする
これは本当に正しいのでしょうか?少し疑ってみましょう。
利回りはできるだけ高いものを買う
利回りが高いということは何ですか?実はリスクが高いということになります。FXをされている方はよくご存じだと思いますが、例えば国によって金利は全然違っており、日本やアメリカは低金利ですが、新興国の南アフリカやトルコは金利が高いです。リスクの高い国だから、金利が高いのです。
それと同じで、不動産も利回りが高いということは、リスクが高いということです。初心者の方にお勧めしている「区分マンション」でのリスクが高いというのはどういう意味かというと、これは3つあります。
①新耐震基準前に働いたマンション
1981年に耐震基準が変わり、それ以降に建てられたものは新耐震基準となっています。その前に建てられたマンションは、今は震災の影響もあって転売しづらくなっていますが、借主としてはそれほど旧耐震基準にこだわらないので、割と賃料は高く貸せてしまいます。
ただ賃料だけを見ているといいのですが、売りたい時に売れないという欠点があります。私は、古いマンションは売れないのでお勧めしていないです。ですが、利回りは高いです。
②1部屋が小さいマンション
単価と総額において、6坪のものも4坪のものも賃料的には大きく差がないのですが、売買価格に差が出てくるので、小さいマンションというのは利回りが高くなります。
③賃貸が成り立たない地域に建っている
賃料も安いが、価格がもっと安いので、利回りが高くなります。
次にリスクと不動産について見ていきます。利回りが高い順に説明します。
①飲食店舗ビル
いわゆるソシアルビルと言われています。
例えば新宿の歌舞伎町にあるビルは、一回出るとなかなかテナントがつきづらいとか、暴力団関係の方が入るなどの運営上のリスクがあります。一番利回りが高いです。
②物販店舗ビル
物販なのでその雑貨屋さんとかそういう店舗が多いです。立地がとても重要で、一旦出るとなかなか決まらないなどのリスクがあります。
③事務所ビル
事務所ビルはどうしても景気に左右されやすいので、事務所ビルも利回りが高いです。
④1棟アパート
⑤1棟マンション
⑥区分マンション
安定しているのは、やはり共同住宅です。一番利回りが低いのは新築の区分マンションですが、中古になると割と利回りが良いものがあります。皆さんの知識が豊かになってリスクを取れる方は、飲食店舗(ソシアルビル)を経営するというのが挑戦として面白いかもしれないですが、難しいです。
ローンを活用して効率の良い投資をする
次に、「ローンを活用して効率の良い投資をする」について説明します。業者から営業電話が来た際に、「ワンルーム投資が儲かりますよ」という話がたくさん来ると思います。
えっ、これって本当に儲かるのかな?と思いがちですけが、ちょっとシミュレーションしてみましょう。なぜ私がシミュレーションを大切にしているかというと、本当に儲かるかどうかが、シミュレーションをするとすぐわかるからです。
例えば、
・価格2000万円
・利回り5.2%(表面)
・専有面積22㎡
・フルローン
・金利2.5%(変動)
・35年ローン
で買ってみます。
そうすると、価格に利回りを足すと、不動産収入が出てきますので年間104万円となります。
次に不動産支出を出していきます。経費に関して、私は経費率を用いて計算していきます。だいたい新築の場合15%ぐらいなので、経費率を入れると支出が出てきます。そうすると収支が出てきて、税引き前のキャッシュフローがなんと19,888円となります。
月額1,657円にしかなりません。空室がちょっとでも長く続くと、すぐ経費率が上がってきますので、一気にここもマイナスになります。
11年目からどうか?というところで、ここで賃料マイナス3%のシミュレーションをしました。古くなるので、管理費修繕積立金がちょっと上がって、経費率20%にしました。そうすると、もうキャッシュフローはマイナスです。月々4,756円のマイナスです。このような形になってしまいます。
フルローンで組むと、新築のマンションは全然キャッシュが出てこないということです。実際は、ここで先程説明した減価償却費用があるので多少黒字になってくることに加えて、金利も経費になるというメリットはあります。
利回りの高い地方に投資をする
次に、「利回りの高い地方に投資してみてはどうでしょうか?」という質問もよくありますが、自分がすぐに行けない地域の不動産を買うことはお勧めしていません。なぜかというと、自分でコントロールできないからです。しかし、例えば大阪に親戚がいて、大阪の物件を買ったあと何か起きた際には、その親戚がすべて何かやってくれるという場合はOKです。
行ったこともない例えば岐阜県の物件にとても利回りがいいものがあって、いいと思って買っても空室が埋まらない。現地に行きたいけど行くのに交通費もかかるし遠くて何度も行けないという状況になってしまいますので、
・空室になって埋まらない時どうするか?
・信頼できる管理会社があるか?(担当が変わって消極的になる場合もあります)
・事故や事件が起きたときにすぐに行けるか?
・その地域をよく知っているか?(同じ地域でも良い場所と悪い場所があります)
・工場や大学の撤退(撤退すると人がいなくなり、空室の可能性が高まります)
このように自分がコントロールできなくて、知らない、すぐに行けないような地方は、利回りが高いかもしれませんが、投資しない方がよいとお伝えしています。ちなみに大阪は、東京よりも利回りが低い場合もあるので地方とは言えませんが、大阪は今なお大変利回りが低く、物件価格が高いです。
おいしい不動産投資にする方法
では、その「おいしい不動産投資にする方法」ですが、大きく3つのポイントがあります。
①良い情報を手に入れる
・業者の損切り物件
業者がどうしても今月中に資金を回収したいので、焦って売りたいというような物件
・離婚、相続などで、すぐにでも現金化したい不動産
先程説明した通り、不動産は流動性が低いという欠点があるので、すぐに現金化したいという方は価格を下げざるを得ません。このような情報を持っているのは、税理士や弁護士ですが、直接情報が来ることはないので、そういう情報が来る不動産会社と仲良くなることが重要です。
・ローンの返済が厳しい、早く売却したい
早期売却価格を提示している不動産もお買い得です。ただ、抵当権がついていて外れない場合があります。
・将来値上がりする不動産
□再開発地域や新駅ができるところにある不動産
□現在は無道路地で価値がない不動産
建築基準法上の接道を満たしていないので、建て替えができないような不動産で、隣の土地をちょっと譲ってもらうと建物の建て替えができるので価値が倍になるような不動産。こういう物件は、お買い得ですが、少し難易度が高いです。
こういう物件は、なかなか融資がつきづらいのですが、再開発地域や新駅は融資がつくので、このような不動産を安く買うというのが、ローンが安い時はお買い得です。
②良い時期に購入する
不動産業者や開発業者は、常に不動産を売却したり建築したりして、利益を出す必要がありますが、皆さんは個人なので、市場がおいしい時だけ参入すればいいのです。そういう不動産が自分のところに来た時、そういう時までちゃんと待てる人になることが重要です。
ただ、ローンを組む場合はそのローンとその方の年齢等もあるので、一概には言えません。個別にそのような時は相談してください。
③良い指導者に巡り合う
私が今までコンサルしてきた方達が、「なぜ騙されてしまったのか?」とお話を聞いている時に思いました。良いコンサルタントかどうか?良い不動産会社かどうか?について見極めることが難しいのですが、その中で判断する基準として2つのポイントがあります。
・不動産投資のリスクをきちんと話してくれるかどうか?
これが一番大きいポイントです。100%完璧な不動産は無いので、「この物件の難点はここですよ」と説明してくれる担当者を信頼しましょう。
・最後まできちんと面倒を見てくれる
「仲介手数料を貰ったらそれで終わりですよ」ではなく、それからも長く面倒を見て、ここはどうですか?というようにアドバイスしてくれるような方と仲良くなると、いい物件を紹介してもらってトラブルも無くいくと思います。