英中銀の理事達の発言と今後のシナリオ
ラムズデン英中銀副総裁 最も注意すべきことは住宅価格の上昇と指摘
イングランド銀行(英中銀) ラムズデン副総裁のインタビュー
6月1日、英中銀の講演予定に入っていなかったラムズデン副総裁ですが、英ガーディアン紙のインタビューに答えており、かなり重要な内容を話していました。
https://www.theguardian.com/business/2021/jun/01/bank-of-england-monitors-uk-housing-boom-as-it-weighs-inflation-risk-dave-ramsden-covid
読んでみると、最近インフレ率が上昇しているが、最も注意すべきことは、住宅価格の上昇を指摘しています。
ラムズデン副総裁は、英中銀は最近のインフレ率について満足しているわけではなく、もしインフレ率上昇が一過性のものでなければ、我々は何をすべきか、きちんと把握している と語りました。
現在の英国経済や住宅市場は、「需要>供給」という関係であり、これが続けば本格的なインフレ上昇圧力となると分析しています。
もし物価上昇が継続的に起きた場合には、英中銀は歴史的に低い水準である0.1%という政策金利を引き上げることも可能であり、そのような需要があれば迅速に行動を取るそうです。
ラムズデンさんは続けて、(パンデミック後の)景気回復には、楽観的に自信を持っているとしながらも、今後コロナ変異種が猛威をふるうなど、国民の意気が失われる時は要注意としています。
と言うのも、英国は既に15ヶ月以上に渡りロックダウンを経験しており、ロックダウンの恐怖を国民は忘れたくても忘れられません。
もし再度ロックダウンに逆戻りとなれば、国民は消費をしなくなり、経済の回復は遅れます。(数ヶ月前と比較すれば、ワクチン接種が進んだおかげで)恐怖からはかなり解放されましたが、コロナを完全に克服した訳ではありません。幸いなことに、感染率があがっても入院する人は減少しており、昨年のような関係にはなっていないことだけが救いです。
全てが順調に進めば来年中にも利上げか?
マイナス金利についての言及もあり、英中銀は(昨年の第4四半期に)マイナス金利導入について、英国の金融機関に対し調査をし、準備に6ヵ月かかることが分かりました。
早いものでそれから既に6ヵ月が過ぎたので、技術的にはマイナス金利の導入は可能となったそうです。しかし、準備が出来たことと、実際にそれを導入することは、全く違うことであるとも語っています。
ラムズデンさんご自身も、マーケットは英中銀の次の一手は、金融政策の引き締めと考えていることだろうと前置きしています。
この発言は、先日のブリハ理事の発言に似ており、今後の景気動向はインド変異種と9月末で終了する給与80%補償制度後の労働市場動向如何ということでしょう。
全てが順調に進めば、来年中にも利上げということになるかもしれません。果たして利上げ期待による長期金利上昇が、政府の財政政策にどのような影を落とすのか?そこにも注意が必要でしょう。
5月27日にはブリハ理事も労働市場が落ち着けば、早ければ来年第2四半期にも利上げの可能性に言及しており、G10通貨の中での利上げ競争が過激になりそうです。
英中銀行の理事達の発言や、今後のシナリオについては、動画で解説していますのでこちらもご覧ください。
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