英中銀金融政策理事会 1番インパクトがあったのは議事要旨
英中銀議事要旨はこちらをご覧ください。
https://www.bankofengland.co.uk/-/media/boe/files/monetary-policy-summary-and-minutes/2021/february-2021.pdf
本題に入るまえに一言。
英中銀は2020Q4にマイナス金利の導入について調査をしましたが、それはMPC(金融政策委員会)とPRA(健全性規制機構)との共同作業でした。MPCもPRAもどちらも英中銀の一部です。もう少し詳しく言えば、MPCもPRAもFPC(金融安定委員会)も英中銀のそれぞれの役割分担別のセクションです。
MPCは金融政策を、PRAは金融機関の安全性と健全性を、FPCは金融市場/システムの安全性監視を、それぞれ分担しています。
前置きが長くなりましたが、議事要旨では、こんな感じのことが書いてありました。
「MPCはPRAに対し、マイナス金利導入に向け、英国の金融機関に準備をするように通達することは、まだしなくてよいと言ったようです。理由は、いま、それを通達してしまうと、マイナス金利導入は秒読み段階に入っているという誤解を与えてしまうから。ただし、マイナス金利導入は避けられないという状況になれば、迅速に動くべきである としていました。
一部の理事は、将来の景気状況に応じ、PRAは金融機関に対してマイナス金利の準備をするよう伝達することは大事であるが、現状ではその必要はないと判断。
MPCは念のために、今後6ヶ月くらいに PRAに対し、金融機関に(念のために)マイナス金利導入に向けた準備は怠らないよう、注意喚起するよう、念を押したそうです。同時にMPCはマイナス金利の階層的導入についても英中銀内で準備をし、必要となればいつでも導入できるよう通達。
MPCはこれらの通達を、マイナス金利導入に向けた用意周到な準備と受け取られることは間違いであると繰り返し述べています。MPCはマクロ経済見通しに基づき、2%の物価安定の達成を通じて、金融政策を決定していることは、改めて念を押しています。今後も、MPC、PRA、FPCの連携協力は継続するそうです。
これに加え、英中銀の資産買入枠(QE策)が驚くほどの拡大をしているが、MPCは英中銀のスタッフに対し、QE策と金融引き締めとの関連性とストラテジーについて改めて調査するよう伝えています。
過去のガイダンスを見ると、政策金利が一定の水準に達したら、QE策を縮小するとなっています。具体的には2018年6月に、政策金利がだいたい1.5%くらいに到達するまでは、QE策の縮小はしないという点で合意しました。
MPCが英中銀のスタッフに対しQE策の縮小について再調査するように依頼したことは、決して将来すぐに金融引き締めに動くことを示唆した訳ではありません。この点は、PRAが金融機関にマイナス金利導入の準備を将来的にするようにという指示が、即 マイナス金利導入に繋がらないことと同じ意味です。」
英中銀の発表を受け、ポンドは大きく上昇しました。私がTwitterで話す日本人の個人投資家さんたちは、「政策金利据え置きで、どうしてこんなにポンドが上がるんだ?」と嘆いていましたが、議事要旨や金融政策報告書に目を通さないと、本当の意味がわからないかもしれません。