ECBの利下げについて
ECBの利下げについて
ECB OFFICIALS SAID TO SEE MARKETS UNDERESTIMATING RATE-CUT ODDS
ロンドン午後に、↑このヘッドラインがあちこちに出ていて、出元がブルーンバーグとなっているので、探したのですが、同じタイトルの記事はないでした。ただ、内容からして、このリンク記事だと思います。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-01-27/ecb-officials-agree-to-push-back-on-market-rate-cut-skepticism?sref=T717SK4D
タイトルは、
「ECB Officials Agree to Counter Investor Rate-Cut Skepticism
ECB関係者は投資家がこれ以上の政策金利カットはないという思い込みには反対姿勢という点で合意している」
最初のところを簡単に約してみますね。
「European Central Bank policy makers are uncomfortable that investors appear to be largely ruling out more interest-rate cuts, and have agreed to stress that such stimulus remains a viable option, according to officials.
欧州中銀金融政策理事会の理事達は、投資家はこれ以上の政策金利カットの可能性を完全に除外していることに懸念を感じており、このような(金利カット)刺激策は選択肢の一つとして残っていることを強調することで合意した。
The Governing Council last week discussed how market pricing foresees little chance of a reduction further below zero, and concurred on the need to highlight that possibility, the officials said, asking not to be identified because the deliberations were private.
先週の金融政策理事会でも、主要政策金利を0%の下に下げる可能性がほとんどマーケットに織り込まれていないことについて話しあい、その可能性があることを知らせる必要性で同意した。」
ただし読み進んでいくと、「短期的には政策金利カットの可能性は少ないが、今後の状況次第 (ユーロ圏を取り巻く状況がさらに悪化する、或いは、これ以上のユーロ高)では、その可能性があることを投資家は知るべきだ」と書いてありました。
オランダ中銀総裁の発言
1月27日のマーケットで、ECBの中ではめちゃくちゃタカ派のオランダ中銀クノット総裁が以下の発言をしました。個人的には、今までの口先介入発言は全て、ハト派(一部中立派?)からの発言でしたので、タカ派の理事のユーロ高牽制発言をずっと待っていました。
発言内容は、
- ECB has tools to counter EUR appreciation if needed.
ECBにはユーロ高に対する手段がある - ECB hasn't reached lower bound yet, there is room for a rate cut if necessary.
ECBの政策金利はまだ下限に対しておらず、必要であれば政策金利カットを実行する余地は残っている - Ready to act if financial conditions were to worsen due to financial market stress.
金融市場のストレスにより金融市場を取り巻く状況が悪化した場合は、実行に移す準備がある - Too early to talk about exit from low rates.
低金利政策からの出口について語るには、あまりにも時期尚早である - Should be room for optimism after the Summer.
夏が過ぎれば、ある程度の楽観論が浮上するだろう - Outlook depends on vaccines.
ここからの経済見通しは、ワクチン接種次第 - Economic impact of second wave of lockdowns seems less severe than first.
2回目のロックダウンによる経済的な打撃は、1回目よりも厳しくないようだ - Side effects of monetary policy are worrying but in crisis there is no trade off.
(超緩和的)金融政策の副作用は心配であるが、現在のような危機時には選択の余地がない
この発言を聞いて感じたことは、クノットさんは、今回のノックダウンは1回目のノックダウンよりも厳しくないと言いながら、政策金利カットの余地はまだ残っている... と矛盾した意見を言っていることです。皆さんもご存知のように、金融政策の目的には、為替レベルの操作は含まれておりません。
そして1月19日に実施された米上院財政委員会でのイエレン新財務長官の公聴会では、「他国・地域に対する優位性を得るために弱い為替相場を米国が目指す事はない。同時に、他国にも貿易での優位性を得るため、人為的に通貨価値を操作する試みを認めるべきではない。」と厳しい口調で語りました。
ECBも当然、この意見に賛成することでしょう。しかし、他国に対する優位性ではなく、中央銀行の責務としての「物価安定の維持」が通貨高により達成できない場合は、どうなのでしょう?それについて、私の中では答えが出ずに、モヤモヤしているところです。
最初の部分の繰り返しになってしまいますが、ハト派の理事が通貨高に対しあれこれ発言する事は想定内でしたが、タカ派の...それも最もタカ派に属するクノットさんが、この手の発言をすることで、モヤモヤ度がますます増えました。