ETF(上場投信)とは
ETFの種類は、全部で200銘柄以上ある。このうち日銀が買い入れの対象としているのは、東証株価指数(TOPIX)、日経平均株価(日経225)、JPX日経インデックス400(JPX日経400)に連動するように運用されたもの。
さらに、設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETFも対象だ。これらのETFはもちろん個人でも買付が可能である。
ニュースを見て、ETFと一般の投資信託とは何が違うのか、ETFに興味を持った人もいるだろう。そこで、今回はETFとは何か、メリットとデメリット、初心者におすすめのETF銘柄を紹介する。
ETF上場投信とは
ETFは、上場投資信託のことで、その名の通り、取引所で取引される投資信託のことである。上場しているので、個別銘柄同様に銘柄コードを使って、株式と同じようにリアルタイムで取引できる。いわば、ETFは、株と投資信託の良さを合わせたような商品だ。
ETFは、日経平均株価やTOPIX(東証株式指数)など、特定の指標の動きに連動して運用されている。日経平均株価とは、日本経済新聞社が東証1部上場企業のなかから日本を代表する225社を選び、その株価を平均したものだ。一方、TOPIXは、東証1部上場の全銘柄を対象として、その浮動株の時価総額から算出する。
日経平均株価やTOPIX(東証株式指数)が上がっていれば、株価が全体的に値上がりしていることがわかる。一方、下がっていれば、全体的に値下がりしていることがわかり、全体の動きをざっくりと把握できるのだ。
さて、日経平均株価に連動するETFの場合、225銘柄を集めて1つにまとめた商品をイメージするとわかりやすい。
例えば、日経平均株価の指標である225銘柄をすべて購入すると数億円以上かかる。しかし、日経平均株価と連動するETF「日経平均225連動型上場投資信託」なら、2万円代から日経225の構成銘柄を購入するのと同じ効果が期待できる。
このように動きがイメージしやすく、少額で分散投資できる点がETFの魅力だ。とはいっても、投資信託にも日経平均株価と連動するものはある。ETFとは何が違うのだろうか。
投資信託とETFとの違い
次の表は、一般の投資信託(公募投信)との違いをまとめたものである。
一般投資信託もETFも投資信託である。大きな違いは、上場しているかどうかだ。この違いによって、取引時間や注文方法、商品の種類や手数料が変わってくる。では、この表をふまえて、メリットとデメリットについて考えてみよう。
ETFのメリット&デメリット
一般の投資信託(※以下 投資信託)との違いからわかるETFのメリットとデメリットは次の通りだ。
ETFのメリット
・値動きを把握しやすい
・成行・指値でリアルタイムに注文できる
・手数料が安い
投資信託は、売買金額がわからない状態で注文を出す。売買金額は、組み入れている株式や債券などの時価評価から1日1回、計算して公表された「基準価額」で決まる。なので、1日1回しか取り引きできない。
しかし、ETFは、株同様に買付、売却の注文を出せる。価格も株式同様にリアルタイムで動き、指値または成行で取引所の取引時間中であれば、何度でも注文可能だ。
日経平均株価やTOPIXに連動するように運用されており、市場価格で売買できるため、値動きも把握しやすい。
一般投資信託もETFも保有コストとして運用費(信託報酬)が必要である。信託報酬は投資信託によって差があるが、ETFは投資信託と比べると信託報酬が安い。
投資信託は証券会社や銀行など販売している会社も信託報酬を受け取る仕組みになっているが、ETFは証券会社に信託報酬を支払わない仕組みになっている。基本的に、運用を行う運用会社と資産を管理する信託銀行が信託報酬を受け取るだけなので、低コストで運用できるというわけだ。
信託報酬の他、売買の際に必要な売買手数料も必要となる。一般投資信託は、商品によって手数料が異なり、0円も存在する。ETFは、基本的に株式と同じ手数料が必要だ。証券会社によっては、ETFの売買手数料を0円に設定しているところもある。
ETFのデメリット
・種類が少ない
一般の投資信託は、証券会社以外にも銀行や郵便局でも取り扱われている。それぞれの金融機関によって取り扱う投資信託は異なっており、ETFと比べると商品数も種類も多い。
日経平均株価やTOPIXに連動することを目指して運用しているインデックスファンドもあれば、株価指数の動きを上回る投資成果を目標に運用しているアクティブファンドもある。
一方、ETFは、証券会社のみで取り扱っている。アクティブファンドはなく、一般の投資信託と比べると種類は少ない。
ETFの種類
ETFの種類は大きくわけると以下の5つである。
・日経平均株価やTOPIXに連動する「国内株式ETF」
・中国の株価指数「CSI300」やアメリカの株価指数「NYダウ平均株価」に連動する「外国株式ETF」
・国内債券の指数に連動する国内債券
・不動産投資信託の指数に連動する不動産ETF(REIT)
・金や天然資源の価格に連動するETF
日本株と同じ口座で海外株に投資できる点は魅力的である。専用口座をわざわざ開設する必要はなく、金への投資もETFなら少額から可能だ。
ETFならではの問題点
一般投資信託は、そもそも上場していないため気にする必要はない。しかし、ETFの場合、流動性が少ないと流動性によるコストがかかることになる。
流動性とは、市場に出回っている数の多さのこと。たくさん数が出ているものは流動性があり、コストは少ないが、数が出ていないものは流動性が少なく、コストが大きくなる。具体的に比べてみよう。
次の表は流動性がある銘柄とない銘柄の注文状況を比較したイメージ図だ。
この表からもわかるように、流動性があれば、999円で購入できるが、流動性がない場合、1030円出さないと買えない。これが、流動性のコストである。
流動性を向上させるため、ETF市場では2018年7月2日にマーケットメイク制度が導入されている。これは、取引所から指定された業者(マーケットメイカー)が常に「売り」と「買い」の気配値を出して、取り引きをスムーズにする制度のことだ。2020年時点では、ETFの122銘柄でマーケットメイクが導入されている。
初心者におすすめ!人気のETF
ETFは数が少ないとはいっても200銘柄以上ある。このなかから、特に人気のETFを3銘柄紹介する。1,000円以内で購入できるものもあるので、はじめての投資にもおすすめだ。
1357NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信
日経平均が上昇すれば、基準価格が下降し、日経平均が下落すれば、基準価格が上昇するETF。取引単位は1口。信託報酬率は0.80%。取引値は、997円。
https://nextfunds.jp/lineup/1357/
1570NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信
日経平均株価の指数変動率に対して2倍の値動きを示した指数に連動するETF。取引単位は1口。信託報酬0.80%。取引値は、16,100円。
https://nextfunds.jp/lineup/1570/
1305ダイワ上場投信-トピックス
TOPIXに連動するETF。取引単位は10口。信託報酬は0.12%。取引値は15,793円(10口分)
https://www.daiwa-am.co.jp/etf/funds/detail/5841/detail_top.html
まとめ
ETF(上場投信)とは、株のように取引所で取り引きできる投資信託のことである。ETFは、少額からはじめられ、株をはじめ様々な金融商品に分散して投資できる。さらに、上場されていない一般の投資信託と比べると、保有コストも安い。分散投資、長期投資を少ない資金ではじめられるETFは、投資デビューにおすすめだ。