EUサミットでのブレグジットについての発表
EUサミットからの発表
先週のEUサミットでは、Brexitについて以下の発表がありました。ボリスが勝手に「10月15日合意期限」と発表したからでしょうか?きちんとサミット初日の15日に発表されています。
https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2020/10/15/european-council-conclusions-on-eu-uk-relations-15-october-2020/
サミットからの発表は、以下の通り。
II. EU-UK relations
1.移行期間は12月31日に終了する。EUとしては、合意に向けた交渉の進捗状況が十分でない点を懸念している
2.EUは今年2月25日の決定に限りなく近い内容で、英国とは密接な関係を継続して行く所存である。それと同時に、特に漁業権、紛争処理、公平な競争条件(LPF) については、2018年11月25日に決定したガイドラインに沿った合意を望む
3.これらを踏まえ、EUは主席交渉官に対し、今後も英国と連絡を取り、出来る限り合意を取り付けるよう、必要な措置を取ることを命じた
4.英国政府が提出した国内市場法案(以下、IMB法案)については、EU離脱協定と北アイルランド議定書に書かれている内容が、確実に実施されなければならない
5.EUはすべての加盟国や関係機関/部署に対し、英国のEU離脱に対する十分な準備を呼びかけている。ここには、合意なき離脱に対する準備も、当然含まれる。欧州委員会には、不測の事態が生じた場合における迅速な対応策を検討するようお願いする
6.EUはこの問題について、常に進捗状況を確認することは怠らない
***英国政府からの回答
EUサミットからの発表を受け、翌16日にボリスからの回答が出ました。そのタイミングが突然であったこと、そして内容が内容なだけに、ポンドは大きく反応しています。
ボリスからの発表
https://www.gov.uk/government/speeches/pm-statement-on-brexit-negotiations-16-october-2020
ざっくりまとめると、「EUサミットからの発表を見る限り、合意は英国の譲歩次第と言う姿勢である。英国はこのEUの決定に失望し、これ以上貴重な時間を割いても無駄であるという結論に達した。」という内容が書かれています。
そして、特に一番最後に書いてあることが 本音に思えたのです。
「the government will be focusing on tackling COVID and building back better so that 2021 is a year of recovery and renewal.
英国政府はここから、コロナ感染対策に集中し、前進して行きたい。2021年は英国にとって、回復と復活の一年にしたい意向である。」
ここでの「復活」とは、コロナ感染で痛めつけられた経済を立て直し、EUから離脱し生まれ変わった新しい英国として、生き返り/復活をしたいという強い決意の表れだと感じました。
週末の新聞報道
もし日本が英国の立場で、首相からこのような「もう交渉は打ち切る」という強いメッセージが出たら、週末は離脱関連報道一色になると考えるのが日本人の発想でしょう。ところが、英国では全く違いました。かろうじてFT紙がBrexit報道をしていただけで、それ以外の主要紙は例外なく、コロナ感染記事で一面が埋めつくされています。
私も現在、日本へ一時帰国中であり、こちらに住んでいるとGO TOのニュースばかりでコロナ2次感染と言われても、あまりピンと来ないのですが、英国だけでなく、フランスやイタリア、ドイツ、スペインなどのヨーロッパ各国が最も頭を悩ませている問題は、コロナ感染第2波への対応です。
最も感染者数が多いフランスでは、夜間外出禁止令が発表。英国では、特に北部での感染率が高いが、3月の時のような全国規模のロックダウンを実施すると経済の回復がますます遅れるため、各地域ごとの対策に留まっています。
問題は、感染率の高い北部の市長や知事が、中央政府の言うことを聞かず、地域ロックダウンを渋っており、「首相・保健相 対 北部地域の市長/知事」との戦いが1週間以上続いている点でしょう。もともと求心力が大きく低下しているボリスですが、この第2波の対応に関しても、だらだらと時間が過ぎるばかりで、ボリスは与野党議員から叩かれっぱなしです。
そんな状況でのEUサミットからの発表であるため、ボリスが高飛車な態度でEUに三行半を叩きつける気持ちは、わからなくもないです。
イーグルフライ掲示板の記事から一部抜粋しています。