関電金品受領問題の驚愕の裏側(2)
電力9社と自民党の深い絆
12月15日、関電金品受領問題で第三者委員会(委員長=但木元検事総長)は最終的な調査報告が年度内(20年3月末)との設定もできないことを報告した。
―調査を進めるうちにもっと奥深い問題が出てきた。進捗状況としては5合目を超えたが質的には正直わからない。年内の結論は出ないし、期限の設定はしていない。個別の事案を解明すれば答えに結びつくはずと思っていたが、調査を進めていくうちに、もう少し広がりを持っているかもしれないと感じている―
当たり前である。
原発事業は底なし沼の利権網で成り立っており、森山栄治氏の周辺情報で起承転結につながることなど有り得ないのである。底なし沼全体を調査報告にするなら報告書は何千ページにも膨らむことになるし、第三者委員会自体に、そこまで追求できる権限は与えられていない。
結局は、金品授受の直接的背景を報告して万事休すとするしかない。本当は日本の裏構造が暴かれ、「民主主義」や「正義」が吹き飛ぶほどの問題なのだが・・・
さて、電力会社と自民党の関係に言及していこう。
電力会社と経産省(旧通産省)との関係は複雑である。電力会社にとって経産省は監督官庁であり、電力料金の改定や発電所の設置は経産省の認可事項であるため、経産省を敵に回したくはない。
このため、経産官僚の天下りを電力会社や業界団体で引き受けるなどして協調関係を構築し、同省からの「丸投げ」を獲得し続けてきたかに見える。しかし、戦後しばらくの間は通産省が電力の国家管理復活を目指して電力事業への介入を図り、民営を維持しようとする電力会社とは緊張関係となった。
その後は再び協調関係に戻ったものの、1990年代前半から2000年代前半にかけて通産省の電力自由化派官僚が、電力自由化と発送電分離、核燃料サイクルの見直しを仕掛けてきたため、両社は激しく対立。結果的にいずれも勝利したのは電力会社だったが、最大の勝因は自民党との関係強化にあった。そこで電力会社は、自民党と緊密な関係を築き、その力を借りることで、経産省(旧通産省)を撃退する手法を強めていった。
かつて電力業界は、自民党に対して金融(銀行)、鉄鋼に次ぐ献金を行っており、「献金御三家」と称されていた。
だが、1974年に石油価格高騰を理由に電気料金を引き上げた際、不払い運動が全国に広がり、電力業界のドンだった東電会長は、地域独占が認められた公益事業にそぐわないとして政治献金の廃止を決定し、全電力会社が追随した。
だが、自民党への資金提供は実は継続していた。
第一に役員個人の政治献金である。電力会社の公式見解によると、それは個人の意思であり、会社は関与していないという。
だが現実は総務部が役員に要請し組織的に行われている。そもそも政治献金の停止を決めた東電の会長自身、代わりに役員個人の政治献金を積極的に行うという考えで、そのとき以来、今日まで続いているのである。
少し古いデータだが2007~09年の3年間における九電力会社(沖縄電力除く)の役員の献金総額は延べ912人、計1億1567万円に達する。さらに1993年には、電力業界が自民党の機関誌などに3年間で25送円の広告費を支払っていたことも明らかになった。
中日新聞が電事連に取材の結果、自民党機関誌に広告費として1983~92年の10年間で総額55億5千万円を支払っていたという。パーティー券の購入もある。
東電は毎年、自民党を中心に50人以上の政治家のパーティー券を計5千万円以上購入してきた。100社以上の関連会社も購入しており、グループ全体では約1億円に達している。しかし、この実態は合法的(1回当たりの購入額を政治資金規正法上の報告義務がない20万円以下に抑えてきた)であり、“オモテ”に出てこない。
近年の「パーティー券査定」が最も高かった政治家の一人が、自民党の電力族議員の代表格である甘利明氏である。甘利氏が経産大臣就任した2006年以降、電力9社は1回あたり約100万円分のパーティー券を事業規模に応じて分担額を決めた上で、毎年2、3回以上、購入していた。平均的な年間購入額は数百万円に上る。日常的な接待や裏金もあった。
電事連主催の朝食会で、電力9社の政治担当役員が自民党議員と顔合わせをしたうえで、担当議員を分担し、選挙時の賃金協力や飲食接待を行ってきた。
このように電力会社は、自民党と政治資金を通じて深い関係を結ぶことで、経産省との対決に勝利し、政治を通じて経産省の人事にまで介入するようになったのである。
メルマガ&掲示板「イーグルフライ」より一部抜粋しています。
全文を読みたい方は、イーグルフライ掲示板をご覧ください。
(この記事は 2019.年12月26日に書かれたものです)