豪ドルとユーロ通貨の見通しは
豪州は8月にも利上げ?
6月26日に発表された豪州5月のCPIが予想以上の上昇となったことから、RBA(中央銀行)が8月に追加利上げを実施するのではないか、との懸念が一気に市場に広がった。
これまでは「8月に利下げを開始する」との見方が大勢を占めていただけに、動揺が走ったことは無理もない。
しかも同日、RBAの総裁補佐が、「インフレが今後数ヵ月間で、再び加速する危険性に警戒すべきだ、金利の方向性については、RBA理事会は何も決定していない」と発言したことで、一段と火をつけてしまった。
豪州経済を巡っては、過去3年近くインフレ率がRBA目標を上回るなど物価高が続くなか、RBAは物価と為替の安定を目的に累計425bp(4.25%ポイント)もの利上げを、実施するなど金利高も重なり、内需の足かせとなる材料が山積する状況が続いている。
他方、外需は最大の輸出相手である中国景気の動向が定かでないも、中国側からの対豪州輸出改善意向が明白になるという、定まらない展望にあるし、欧米など主要国景気も勢いがない。
こうした状況を反映して1-3月実質GDP成長率は前期比年率+0.51%と、1%を下回る伸びに留まるとともに、中期的な基調を示す前年同月比でも+1.1%(前期+1.6%)と鈍化。足下の景気は頭打ちの様相を強めている。
他方、一昨年末を境に加速の動きを強めたインフレはRBAの金融引き締めも、追い風に頭打ちに転じてきたものの、年明け以降はその反動も影響して底打ちに転じる動きをみせてきた。
そこに6月26日、5月のCPIが前年同月比+4%(4月+3.6%)と発表された。コアCPIも同+4.4%(4月+4.1%)と伸びが加速した。
RBAが注目する「物価変動の大きい品目と旅行関連を除いたベースのインフレ率」は、同+4.0%(4月+4.1%)と、わずかに伸びが鈍化したのも、前月比は+0.24%と4月(+0.41%)からペースは鈍化。
それでも上昇が続いていてインフレ圧力がくすぶる状況に変わりはない。しかも足下では家賃をはじめとする住宅関連で物価上昇圧力が強まる動きとなっている。
これは金利高の長期化によって低価格住宅の供給が逼迫する一方、堅調な移民流入などを追い風に需要拡大の動きが続き、全国的に住宅価格に押し上げ圧力が掛かっていることが影響している。
こうした中で、前記したRBAの総裁補が銀行業界向けの講演において、足下の金利水準が明らかに中立金利(景気を安定させるレベルの中長的政策金利)の推計値を、上回っているとの見方を示した上で、多くの家計に経済的負担を強いているとの認識を示すとともに、物価抑制に向けて必要であれば追加引き締めも排除しない考えを示すというタカ派姿勢を敢えて表明した。
では、実際8月6日の次回RBA会合で追加利上げをするのか。
6月18日のRBA会合では政策金利(4.35%)の据え置きを決定したが、会合後の記者会見でブロック総裁は、「利上げも検討したインフレを目標域に戻すには多くのすべきことがある。
需要を維持しつつ抑制させることは極めて困難だが、インフレの上振れリスクを警戒していることを強調したかったと伝えるとともに、四半期データでインフレ動向を見極めることは困難であり、経済動向全般を見る必要がある。
今回会合で利下げは検討しなかった。利上げの根拠が増しているとは言えない。金利高が一部のセクターに悪影響を与えていることは認識している。物価抑制を実現しつつリセッションを回避する。警戒という言葉がそのまま利上げを意味する訳ではないとした。結局、利上げはしまい。
もちろん、利下げの環境推移も定かではない。となると今年11月に利下げ開始との大勢の見方は1四半期先送りとなり来年2月になると予想したい。
では、対ドルで豪ドルが堅調になるのか。答えは、7月中は少なくとも「ノー」だろう。
実際、5月中旬以降0.66ドル台で膠着状況にあり、ドル全面高の中では堅調と言えよう。8月以降は0.7ドル台への上昇はあり得る。対円ではどうか。
現在、107円台半ばと07年11月以来の高値にあるがRSI(相対力指数)は70%を越え過熱感がある。深追いすべきではなく、むしろ近々予想される「ドル円での日銀介入」時を、狙って2~4円幅狙いのショート形成が可能ではないか。
フランスリスク後退でユーロ高?
フランス・マクロン大統領が突如、国民議会解散と総選挙実施を発表したのは6月9日。
ユーロドルは発表前の1.0903ドルから6月26日には1.0666ドルまで下落し、現在(7月3日)、1.07ドル台前半とやや値を戻している。
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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2024/7/4の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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