対ドルでの欧州通貨安に要注意
ユーロドルは1.07ドルへ
1ユーロ=1.08ドルとユーロ安が目立ち始めた。21日の1.0942ドルから一転した様相だ。
スイス中銀が予想外の利下げを決定したことでECBの利下げ圧力が強まるとの読みだろう。
1.08ドルを割り込むと1.07ドルまでの下げは必至。その次は1.05ドルがターゲットとなる。
ECBは3月の理事会(7日)で4会合連続の政策金利(4%)据え置きを決定したが、同時に最新の「マクロ経済見通し」を公表し、今後の物価と景気の動向予測を発表している。
これによると、まずCPI(消費者物価指数)に関してはディスインフレ(インフレ収束)が、徐々に進み、2025年後半にはECBの目標水準である2%上昇を下回るとの見通しを、メインシナリオとしている。
つまりECBの先行きは、インフレが着実に安定するという見方に立っている。
一方でECBは、景気について2024年の実質GDPが前年比+0.6%と2023年(+0.5%)と、ほぼ同じ伸びにとどまるという見方を示している。
ディスインフレの進展が実質所得の増加につながるため、個人消費が堅調となって景気を牽引する一方で、金利の水準が引き続き高いため、総固定資本形成が不調(ようするに設備投資が鈍る)となって景気を下押しするというのが、ECBの見解である。
20日の講演でラガルド総裁は、「4月までにはもう少し、6月までにはより多くのことがわかるだろう」と、6月の利下げ開始を改めて示唆した。
また、タカ派と目されているナーゲル独連銀総裁は、持続的に2%の物価水準に近づきつつあるとしたうえで、ドイツ経済以上にユーロ圏経済の悪化を懸念していると、利下げに前向きと受け止められる発言をしている。
ただ、デギンドスECB副総裁は、「将来の金利動向について、まだ議論していない」として、理事会内で議論が進んでいるとの見方は否定している。
財政政策については、11日に開催されたユーロ圏の財務相会合で、2025年の財政支出をやや引き締める方針で一致した。
また、2022年~23年のエネルギー価格急騰時に導入した補助金などの支援策も、段階的に縮小する姿勢も示した。
物価高騰という危機から通常運転への修正である一方で、財政ルールを堅持する姿勢でもある。財政支出が絞られるということは、先行きの経済成長率に下押し圧力が係ることを意味する。
こうした中で、注目されるのは復興基金だろう。復興基金は、コロナ禍の経済・社会の影響を緩和するために2021年2月に成立したもので、7238億ユーロ規模(融資3858億ユーロ、補助金3380億ユーロ)の政策だ。
グリーン化、デジタル化に向けて持続的で頑健な経済・社会を構築するために、各国で設備投資などに使われていくが、その多くはこれからの配分とされ、その分が各国景気の下支え役になると期待されてはいる。
先行きの景気については、当面弱い動きが続くだろう。景気が冴えない中で物価上昇率が低下することによって、年半ばごろから利下げが行われることもあり、穏やかに持ち直しに向かうだろう。
しかし、牽引役のドイツ経済に回復の兆しがまだ見えていないことが懸念される。ドイツの景況感指数は他国に比べると、一段低い水準で推移しており、上向く動きも見られていない。
そのため、引続き先行き不透明感が強いとみられる。実際、ユーロ圏経済を巡るリスクを挙げるときりがない状況だ。
物価高騰や域内外景気の減速、金融引き締めの影響、ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化に伴う物流やエネルギーなどの問題に加えて、欧州議会選にも要注意だ。
早くも10日に実施されたポルトガル総選挙では、極右政党が大幅に議席を伸ばした。
これまで政権を担ってきた既存政党への失望などから、欧州の右傾化が目立っており、従来の政策からの転換も予想される。
ようするに政治・経済環境の不透明感が強く、ユーロ圏景気の先行きが読み切れないのである。そうした通貨には買いの手が期待できない。
20日の講演でECBラガルド総裁は、「4月までにはもう少し、6月までにはより多くのことがわかるだろう」と、6月の利下げ開始を改めて示唆した。
また、タカ派と目されるナーゲル独連銀総裁は、持続的に2%の物価目標に近づきつつあるとしたうえで、独経済以上に、ユーロ圏経済の悪化を懸念していると、利下げに前向きと受け止められる発言をしている。
ただ、デキンドスECB副総裁は、「将来の金利動向について、まだ議論していない」として、理事会内で議論が進んでいるとの見方は否定している。
次回4月11日のECBでの利下げを予測するECB政策委員も出てきた。どうやら、4月中の1ユーロ=1.07ドル割れが見えてきたようだ。
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2024/3/27の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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