ナスダック暴落の理由は?
今回の報道では、「ナスダック下落により、テスラも下落した」と報道されていたケースもありますが、ナスダックに先行してテスラは下落していたので反対です。
テスラ下落の影響を受けてナスダックが下落したということであれば、理由の説明にはなりますが、それは主な理由ではなさそうです。
最初にお伝えしておきますが、高値圏に位置している株は、特に大きな材料がないのに乱高下することは多いです。天井圏や大底圏では乱高下すると覚えておきましょう。
テスラが下落したのは、1日に自社株を最大50億ドルを売って資金調達する方針を発表したからですが、全て売却しても発行済み株式数の1%程度です。
興味深いことにテスラ株の相場の報道が間違っていることが多いです。その理由は、テスラは一番仕手的(恣意的)な動きになっており、皆が注目するので、深く考えずにテスラ株を(キーワードに入れて)話題にする傾向があるのだと思います。
テスラの時価総額がトヨタを抜き、自動車業界トップに躍り出たという報道が7月にあったように、そもそもテスラは買われすぎ感が大きいです。
また、今回、ソフトバンクが巨額なオプション取引をしていたことが発覚したことから、それが下落の理由なり、下落が加速した理由という報道や解説もありますが、これも一部は正しくても、理由としては弱いと思います。
ソフトバンクグループはコロナ騒動後、流動性の高い上場株に資産を移したことから、次のような米国の先端IT関連株を多数保有していました。
6月末現在の保有株には次のとおりです。
ソフトバンクが6月末時点で保有していた米IT企業(全26社)
アマゾン・ドット・コム 約10億ドル(約1000億円)
アルファベット(グーグル)約4億7500万ドル
アドビ 約2億5000万ドル
ネットフリックス 約1億9000万ドル
マイクロソフト 約1億8000万ドル
エヌビディア 約1億80000万ドル
テスラ 約1億2000万ドル
他、全26社
株の買い持ちが多い中、さらにソフトバンクは8月に個別株のコールオプションを大量に買い始めました。(急騰すると大きく利益になるポジションです)ナスダックは暴落する前に上昇が加速していたのは、これが原因だと思います。(一般的にも上昇角度はどんどん大きくなって、最後に急落というパターンが多いです)
VIX指数(恐怖指数)は相場が短期間に大きく動くと上昇し、VIX指数が上昇する時は通常は株価下落の時ですが、今回、暴落の前の株価上昇局面でVIX指数が上昇してきていました。つまり、暴落前にナスダックは急上昇していたことになります。
ソフトバンクのコールオプションの大量買いにより、コールオプションを売っている側が、損失を出さないように短期の株買いをしたことが、暴落前の株価上昇につながっていたという見方ができます。
報道では、ソフトバンクが大量に買っていることから、先端IT関連株が割高になっている懸念から暴落したという報道もあります。また、オプションを大量に買ったのは、ソフトバンクが株を売る必要があるため、現物は売るものの、オプション取引で利益を出そうとしたという推測から株が暴落したという推測もあります。
報道では、「理由は分からないけど暴落した」という表現はできないので、もっともらしい理由をつけた報道になりますが、真相は「よく分からない」が正解だと思いますし、それが正しい報道です。
理由は分からなくも、高値圏に位置する株が一旦下落開始すると、売りが売りを呼んで暴落することになります。ナスダックについては、現時点では収束の方向ですが、少し乱高下があるかもしれず動きを掴むのが難しいですが、ニューヨークダウや日経225は、分かりやすい動きになりそうです。