ユーロドルは節目を迎えるか
インフレは高止まり
14日のECB(欧州中銀)政策決定会合を前にした11日付のブルンバーグ記事は、以下のとおりに伝えた。
重大な岐路になるとみられるECBの今週の政策判断を前に、ユーロに対してヘッジファンドは今年初め以来の弱気に傾いた。
ECBが利上げサイクルの休止を決めるとの読みからだ。
CFTC(米商品先物取引委)が発表した週次データによると、投機筋のユーロポジションは6421枚のネットショートで、ネットロングだった前週から一変した。
比較的長期投資の資産運用者も、ネットロングのポジションを減らした。ECBの追加利上げの可能性を巡り、市場の見方は依然分かれている。
インフレが高止まりしてはいるが、成長見通し悪化への懸念が高まる中で、
利上げ休止を見込む予想が増加。その確率は現時点で60%とみられている。
大手欧州資金運用会社の責任者は、「欧州のスタグフレーションは現実的なリスクだ」と指摘。「成長は期待外れだがコアインフレ率の低下は限定的な進展しか見られない」と述べた。
ユーロに対する地合いは夏の間に悪化し、対ドルで7月に高値を付けて以降、8週連続で下落。短期筋は8月にユーロのネットロングポジションを90%近く減らしていた。
ようするに、ECBも市場もユーロ圏のインフレ動向と景況見通しを秤にかけているわけで、確かに難題といえる。
インフレ動向
インフレ動向について見てみよう。
8月のユーロ圏の消費者物価の速報値は前年比+5.3%と前月から上昇率が不変。
先月まで9ヵ月連続で上昇率が鈍化、昨年10月のピーク(同+10.6%)から半減したが、今月は上昇率の鈍化が止まった。
四捨五入前では前月=同+5.31%→今月=+5.26%と僅かに上昇率が鈍化。
内訳は変動の大きいエネルギー・食料・アルコール飲料・たばこを除いたコア物価(前月=5.5%→今月=同+5.3%)が再び鈍化に転じたほか、高止まりが続いてきた食料・アルコール飲料・たばこ(同+10.8%→同+9.8%)も、5ヵ月連続で上昇率が鈍化したものの、エネルギー(同マイナス6.1%→同マイナス3.3%)の下落率が縮小し、全体の計数を押し上げた。
エネルギーの下落率縮小は8月入り後の原油や天然ガス市況の反発を反映したもの。
8月並みの水準が続いた場合、向こう3ヵ月にわたって、エネルギー価格の下落率は再拡大することが予想される。来月以降はヘッドラインのインフレ率も再び上昇率が鈍化する公算が大きい。
コア物価の上昇率鈍化はインフレ沈静化を目指すECBにとって好ましいサインだが、前年の7月→8月に上昇率が+0.3%ポイント加速していたことに鑑みると、今月の上昇率鈍化の多くは“前年同月の裏”を反映したものとみられる。
賃上げ加速や企業の価格転嫁の高まりなどを反映したインフレの基調は、前月からほとんど変わっていない可能性がある。
速報段階ではコア物価の細かい内訳は公表されないが、エネルギーを除く財(同+5.0%→同+4.8%)、サービス(同+5.6%→同+5.5%)が揃って上昇率鈍化となった。このうちエネルギーを除く財は前年7月→8月に+0.6%ポイントも加速しており反動減が出た模様。
国別の消費者物価(EU統一基準)は、ドイツ(7月=前年比+6.5%→8月=+6.4%)、イタリア(7月=+6.3%→8月=+5.5%)の上昇率が鈍化した一方、フランス(7月=5.1%→8月=+5.7%)、スペイン(7月=+2.1%→8月+2.3%)と、
上昇率が加速した。
インフレ動向を総括
(1)ユーロ圏の消費者物価は基調的な物価上昇圧力が依然として強い。
(2)先行きも基調的な物価上昇圧力の高止まりが続くとみる。
ECBが23年8月に公表したレポートを参考に、各種の基調的な物価指標をみると、伸びは鈍化しているが2%超で高止まりしている。
(3)特に、国内インフレ指標(物価構成品目の3割強をカバー)の構成品目は、
人件費割合が高いサービス業が中心。
ユーロ圏建材は低成長が続いているが、雇用環境は堅調であり、高めの賃金上昇も続いている。
欧州の賃金交渉は複数年で妥協されるため、22年後半や23年前半に高めの賃金上昇で妥結下影響は今後も経ると予想される。
したがって・・・
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2023/09/14の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。