米国の個人消費動向に注目すべし
労働環境の変化に注目
アトランタ連銀は8月24日、7-9月期の実質GDP成長率が前期比年率+5.9%(4-6月期+2.0%)と、新興国並みの高成長になると予測修正をした。
仮にその通りに推移するなら9月FOMCでの追加利上げは必至ということになるし、11月か12月会合での追加利上げも織り込んでいくことになる。
当然のこととしてドルはさらに強くなるわけで1ドル155円も範中に入ってくる。
だが、FRB議長のジャクソンホール演説が終了した直後から次々と発表された労働需給や、個人消費関連指標の8月分が明らかに変調の兆しをみせ始めた。
GDPの7割以上のシェアを占める個人消費と、その動向に大きな影響を与える労働環境が、転機を迎えたのかは、まだ定かではないが要注目である。
9月1日のNYダウ平均株価が3万4800ドル台と週間で3週ぶりの上昇となった。労働市場の需給が緩みつつあることを反映した動きだ。
これでFRB議長のジャクソン講演のタカ派的側面への懸念が後退し、投資家の心理を支えたようである。
8月の雇用統計では非農業部門の雇用者数の増加幅が市場予想を上回った一方、6月、7月分も下方修正された。3ヵ月移動平均では15万人増と、新型コロナウィルスの影響が経済を直撃し始めた2020年3月以降では最低となった。
労働市場に戻る人が増え、労働参加率は前月比0.2ポイント高い62.8%と、20年2月以来の高水準(コロナ禍直前に戻した)。失業率も3.8%と前月から0.3ポイントも上がった。
この変化だけ捉えると、もう9月20日のFOMCでの追加利上げはないということにつながる。
7月のJOLTS(雇用動態調査)では自発的な離職者の比率を示す退職率が2.3%と、21年1月以来の低水準となった。
労働条件(賃金、仕事の内容など)のレベル・アップを求めての移動行動が、次第に取れなくなってきたことを示す。
つまり、労働需給が緩み、主導権が働き手から雇用主へと移りつつある。
確かに8月の平均賃金は前年同月比+5.9%と上昇は続いているも2021年以来の低い伸びになった。また、失業者1人に対する求人件数も1.5件と21年9月以来の低水準となった。
8月消費者マインドの後退
8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は106.1(前月114.0)と7.9ポイント低下し、市場予想の116.0を大幅に下回ったうえ、前月の数値が下方修正された。
この指数は6月、7月に大幅上昇し、個人消費を押し上げたが、今回の大幅低下は8月の個人消費の鈍化に繋がった可能性が高い。
現状指数が144.8(前月153.0)と前月比マイナス8.2ポイントと全体を押し下げた。
米中堅銀行破綻を受けた信用状況の引き締まりが続くなか、市場金利、食料品やガソリン価格の上昇、これらによる景気の先行き悪化懸念の強まり等によって、景気、雇用の現状に対する楽観的な見方が弱まったうえ、景気、雇用の先行きに対する見方が再び悲観に転じた。
23年末にかけて、利上げ終了期待の高まりを受けた長期金利の安定や、景気後退懸念の弱まり等が、期待指数の下支えに繋がる可能性が高い。
一方、これまでの利上げや中堅銀行の破綻を受けた信用状況の引き締まり、コスト増加等を受けた景気の減速、労働需給の緩和を背景に、現状指数が低下すると見込まれる。
この結果、コンファレンスボード消費者信頼感指数は緩やかに低下し、個人消費減速の一因となると予想される。
現状指数の構成項目である「景気」、「雇用」がプラス幅を縮小した。現在の景気に対する判断(良い-悪い)が+3.5(前月+4.5)と+幅を縮小しており、現在の景気に対する楽観的な見方が弱まった。
また、現在の雇用機会に対する判断(充分-困難)が+26.2(前月+32.4)とプラス幅を縮小、現在の雇用環境に対する楽観的な見方が弱まった。
この判断は、・・・
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2023/09/06の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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