新自由主義の呪縛=霞が関の黄昏
岸田政権はウルトラ新自由主義
岸田首相は、自民党総裁選において「新自由主義からの転換」を掲げた。
その問題意識、目指すところについては、総裁選の岸田候補の資料には次のように記載されていた。
規制緩和、構造改革の新自由主義的政策は我が国経済の体質強化と成長をもたらしたが、富める者と富まざる者の分断も発生、成長のみ、規制緩和のみ、規制緩和・構造改革のみでは、現実の幸せには繋がらず。
「成長と分配の好循環による新たな日本型資本主義の構築が必要、“新しい日本型資本主義構想会議”(仮称)を設置し、これまでの経済政策・成長戦略・社会保障改革を総括の上、ポストコロナ時代の経済社会ビジョンを策定」、また、関連する事項として「令和の所得倍増)に関し、次のようにも記載されている。
「経営者が長期的な視点に立って、従業員や取引先を大事にしながら共存共栄の、企業社会を実現するためコーポレートガバナンスコードの戦略的見直し」、「適時開示を促進しつつ四半期開示を見直すとともに企業における非財務情報の開示を充実」。
規制緩和や構造改革が日本経済の体質強化をもたらしたり、成長をもたらしたりというのは事実に反する記述であり、むしろ日本経済を弱体化させ、長期の停滞の原因の一つとなり、成長できた経済は成長できない経済となり、今日では日本経済を衰退の途上に追いやるに至っているのが事実であろう。
無論、個別分野で見たときには、国民経済にとって正に作用した規制緩和もあるので、規制緩和をすべて頭ごなしに否定するつもりはない。
しかし、構造改革の名の下で進められてきた規制緩和、途中から「緩和」ではなく「改革」とされるようになったが、これがいかに社会経済を、国民の生活を、先人たちが積み上げ、作り上げてきた、成長し、豊かになる日本を破壊してきたかを想起すれば、「こんな効果もあったのだから、岸田候補の資料の記載は事実に反するなどとは言えないのではないか。」などと軽口を叩くことはとてもできないだろう。
新自由主義からの転換を目指すのであればまさにこうした構造改革や規制緩和の問題を、正しく認識するところから始めて、それらを漸進的にでも構わないので、元に戻していく、いい意味で改めていくことが必要なのである。
その点で、自民党政権である以上、構造改革を全否定することは出来ず、その効果を一応認めざるを得なかったとしても、格差や分断の発生、構造改革は必ずしも国民の現実の幸せにはつながらなかった。
ゆえに構造改革による問題について正しく認識しようとしている点では、「新自由主義からの転換」は、その実行・実現が期待された。
加えて、「令和の所得倍増」のところの記載に関しては、これらが、日本の賃金停滞・引下げや、民間企業における短期主義的な経営を助長し、中長期的な研究開発を困難にして成長の機会を失わせた元凶となった株主資本主義、金融資本主義の修正に繋がることも期待された。
しかし、・・・
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2023/08/29の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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