公開日 2023年6月19日

来年、紙幣が刷新される!

2024年度上期(24年4月~9月)を目処に、日本の紙幣が一新される。このことを知っている方は意外に少ないが、紙幣刷新は国や生活、文化のゲームチェンジャーになるのである。
来年、紙幣が刷新される!

2024年度上期(24年4月~9月)を目処に、日本の紙幣が一新されることを知っている方は、意外に少ない。

今回(前回は20年前の2004年)の紙幣印刷の一義的狙いは「タンス預金」の炙り出しだと、されている。

日銀の資金循環統計によると、2022年12月末時点で家計部門が保有する現金は、前年比+2.4%の109兆円と過去最高となっており、高齢者を中心に自宅で現金を保管する「タンス預金」を増やす傾向が強まっていることがある。

また、今回の紙幣刷新には主要各国から遅れるキャッシュレス化を促進する狙いも、あると推察される。

その大きな目的は主に以下の3点だ。

  • インバウンド消費の拡大
  • キャッシュレス決済に伴う人手不足緩和や生産性の向上
  • 現金決済のインフラコストの削減

今回の新紙幣刷新に伴い、金融機関のオープン出納システムやATM、自動販売機などの特需が発生している。

ただ、金融機関向けのATMなどでは営業店舗の減少やキャッシュレス化等に伴い、貨幣流通量の減少が予想されており、関連業界の事業環境が、前回の紙幣刷新時と異なる点には注意が必要。

一方、流通業やコンビニなど小売業向けのATMは店舗数の増加などから前回よりも単価が安く、更新サイクルが短い。

自販機の普及台数も減少トレンドにあるため、今回の紙幣刷新に伴うATMや自販機の改修特需は前回ほど大きいものは期待されず、特需の出現時期も分散されていることが予想されるだけに、安易な「先回り株式投資」はお勧めできない。

タンス預金の完全炙り出しは不可能

新紙幣の一般的な目的や動機としては、偽造防止とされる。このため、今回の刷新も最大の目的は偽造防止であることが推察される。

しかし、前回の紙幣刷新は、発表が2002年8月に対して流通開始が04年11月であり、発表から紙幣刷新までの期間が約2年だった。

これに対して、今回は発表が2019年に対して紙幣刷新が2024年となり、発表から刷新までの間隔が5年もあり、通常より長い印象を受ける。

この背景として市場では、恐らく改元(平成から令和へ)と、発表時期を合わせる意向があったものと推察されている。

ところで、今回の紙幣刷新の真の狙いは「タンス預金」の炙り出しとされている。

というのも、こうした現金退蔵はマネーロンダリングや租税回避の温床になりうるだけでなく、財務省がいよいよ「資産徴税」の強化を計る方針を決定したことも重なっている。

先週の当レポートで記した5月29日の「財政制度等審議会」(財務省の諮問機関)による「建議」の中での記述=「個人の社会保障の負担能力を判断する際に、マイナンバーを活用しつつ、保有資産や金融所得を勘案することを検討すべき」が証左である。

しかも、この「建議」は必ず財務省が法制化に動くものゆえ、要注意である。タンス預金は全くの自由意志であり、法的にも何ら問題ない。

財務省・税務当局が個人の総資産を把握しようとしても、この「タンス預金」だけはアンタッチャブルであり、確かにマネロンや脱税、租税回避の温床として利用している向きもある。

ただ、税務当局や警察が資金の流れの非連続性や犯罪の臭いがする場合は別として、例えば、長年の収入の一部をタンス預金したり、親族からの相続分自体がタンス預金で、そのまま再びタンス預金として保管した場合などは、事実上、当局側は知る術を持たないが、膨大な過去の調査時間を要すことになり、放置するしかない。

では、新札刷新で炙り出しができるのか。心理的には一定の効果は期待できよう。

旧札となる一万円札を仮に1千万円以上、自宅の耐火金庫の中に保有しているとしたら、どうするか。

旧札となっても事実上は使用できるが、モノ・サービスに使う際、次第に店側の「紙幣鑑定機」が旧札データをカットしていくことから逐一、面倒になる。

ならば金融機関で新札と交換しようとすると、これからは恐らく、申請書にマイナンバーを記すことになり、税務当局にデータが蓄積されていく。

「ヤレヤレ、これで子供たちにゴッソリ、相続し、子供たちには同じ様にタンス預金で保有しながら使っていけばいいと伝えれば済む」と安堵しても、その時は即座に税務当局が動く。

つまり、ヘタに動揺し、旧札のタンス預金を使用したり、新札に交換したりする人々が少なからず出てくることが予想される。

実際、前回の紙幣刷新の1年前あたりからタンス預金が大きく減少した。

キャッシュレス化促進の狙いも

主要各国から遅れているキャッシュレス化を促進する狙いもある。

実際、経産省が公表した日本のキャッシュレス決済比率は2020年時点で約32.5%に、とどまっており、最もキャッシュレス決済が普及している韓国の9割以上を筆頭に、中国=83%、豪州=67.7%、英国=63.9%、シンガポール=60.4%、カナダ=56.1%、米国=55.8%、フランス=47.8%、スウェーデン=46.3%(以上2020年段階)と、圧倒的に低水準であることがわかる。

このため、日本政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を約4割、将来的には約8割まで拡大する目標を掲げている。

そして、その大きな目的は主に3点あり、まずはインバウンド消費の拡大がある。

実際、政策投資銀行が2019年に実施した調査によれば、中国人観光客の約2割が、日本のキャッシュレス決済の普及状況を不安視しているという結果が出ていた。

また、コロナショックにより現金授受に伴う感染リスクに不安を感じる人が増えたことも、キャッシュレス化の後押しとなろう。

最近、売り場でのレジが合理化され、機械化のスピードが一気に早まっているのは、2014年度の紙幣刷新での混乱を乗り切るための設備投資によるものであり、人件費節約のためでもある。

現金決済のインフラコストの削減

現時点で現金決済インフラを維持するために、ATM設置や運用など多くの項目で、年間約1.6兆円を超えるコストが発生しているとの調査もある。

このため、将来キャッシュレス化が十分進めば、金融機関や小売業などを中心に、こうしたインフラコストの削減が期待されている。

特に小売業にとっては、紙幣や硬貨の刷新による改修投資は追加負担になる。

このため、・・・

続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2023/06/19の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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金森薫

金森薫

国際エコノミスト。元外為・債券・株先ディーラーという実践経験を生かした経済分析、マーケット分析。

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