知られていないPFASの日常的使途
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https://real-int.jp/articles/2134/
PFASはハンバーガーやポテト、ピザなどの包装容器の耐水耐油加工にも使用されている。
FDA(米国食品医薬品局)によれば、高温で焼き付けされているフライパン加工に比べて、包装容器への使用は低温で加工されているため、食品への移行が起こりやすいと指摘されている。
日本のファーストフードチェーンで包装容器に有機フッ素加工をしていないのは、「ミスタードーナツ」(ダスキン)だけ。ミスタードーナツではパラフィン紙を使っているとのこと。
「マクドナルド」「KFC」は有機フッ素加工した容器や包装紙を使っていることを認めているし、「モスバーガー」はハンバーガーの包装紙には使っていないが、ポテフラの包装紙には使用している。「ロッテリア」は一切、公表していない。
米国のマクドナルド本社は21年1月に、25年までに包装容器のすべてのPFASの使用を中止すると宣言した。日本マクドナルドも25年までには対応するとのこと。
水道水問題
問題は水道水である。
PFOSとPFOAについては、20年4月から水道水に対して水質管理目標値が設定され、両方合わせて水1リットル当たり50NG以下になるよう管理されている。
ご自宅の近くの水道局に尋ねれば、水道水の濃度を教えてくれるはず。基本的に水道局は50NG以下になるように調整して配水している。
東京多摩地区(今、注目の地域)の一部の地下水で高濃度の汚染水があった地域では、その井戸からの取水を止めるか、他所からの水で薄めて配水している。
地域の簡易水道など、地下水を飲用水に使っているところは要確認である。
50NGはあくまで暫定的な基準で、米国のNGOなどは1NGを推奨しているし、米国のミネラルウォーター事業者の協会は5NGという自主基準をつくっている。
毎年新たな毒性がより低い濃度でも判明しているので、各国のPFOAの安全曝露基準は、この14年間で5000分の1も下げられている。
日本では今のところ曝露基準は設定されていない。
もし水道水にPFASが混ざっていることがわかったら、PFASは煮沸などの処理では消えず、逆に煮詰めることで濃度が高くなることを覚えておくべきだろう。
活性炭または逆浸透膜(RO膜)を使った浄水器で除去できる可能性はある。ただし活性炭を使った浄水器でも、決められた頻度で活性炭のカートリッジを交換しないと、活性炭に吸着したPFASが再度出てくる可能性があるので要注意である。
水道水中の濃度によってフィルターの交換時期も変わるゆえ、面倒でもメーカーに確認するしかない。
在日駐留米軍由来の汚染が多し
筆者は日本の米軍基地に対する撤退運動に参加したこともないし、反米イデオロギーに染まっていることもない。
だが、太平洋戦争以来、駐留米軍が日本の生活水を各地で汚染してきたことは事実であるし、PFAS以外に、この約70年間、化学兵器、アスベスト、燃料など様々な汚染の原因となってきた。
なぜ、垂れ流しのままになるのかというと日本政府が「日米地位協定」の存在のために、米国に対し強い態度に出られないからである。
米軍は自国にとって不利なことに対してはこの協定を盾にして常に情報を隠そうとする。
PFOSが、日米地位協定の環境補足協定で、日本環境管理基準の報告すべき化学物質の一覧に加えられたのは2016年。PFOAが加えられたのは2020年と実に遅れている。
ましてやPFOSの代替品として出て来たPFOSや他のPFASはリストに加えられていない。
ただ、リストにあるかどうかということより深刻なのは環境補足協会で米軍が、日本に報告するとされているのは事故のときであり、その他の消火訓練や廃棄などで漏れたり流れだしたりした場合はこれに当てはまらない。
実はPFAS汚染の多くは事故によるものでなく、長年にわたる消火訓練によるものである。したがって日本政府には一切、報告されない。
軍は1960年代終わりからの膨大な訓練でPFASを散布したため、一体、どれだけの量が、どの地域に拡散しているのか全く定かでないのである。
確かに、これまでのPFAS汚染検出や流出、漏出事故の多くは沖縄の米軍基地発だったが、厚木、横田、岩国、三沢など日本中の米軍基地はどこもPFAS汚染されていて、その廃棄で他の地域も汚染されているのである。
PFAS汚染で一番問題なのは訓練だ。たとえば、沖縄嘉手納基地の消火訓練施設。
ここは約20年間使用され、大量のPFASが近くを流れる川を汚染し、また、地中に入り基地の外に出て井戸に流れ込んだ。
それどころか、米軍はPFAS汚染水を付近の小学校に近接する水路を使って、外に放出していたことが判明(21年12月)。
しかし、いまだに宜野湾市も県も子どもたちの血液検査や、汚染状況の調査など具体的な行動を起こしていない。
地位協定では事故以外での立ち入り調査は実施できないし、仮に米軍から返還された土地の汚染が判明しても米国には浄化義務がない。日米地位協定は63年前に作られたときから変わっていないのである。
では米国人はPFASの危険性について知っているのか。
米国のTVニュースや新聞ではPFASに関する報道がよくあるし、商品に「PFAS不使用」のステッカーが貼られていたりする。
「環境ワーキング・グループ」(EWG)というNPOは、製品にPFASが使われているかどうかわかるデータベースを公開している。スキンクリームやシャンプー、化粧品についても調べることができる。
日本はどうか。
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2023/05/29の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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