マイナカードの危険性が見えてきた
個人的な話しだが、政府がマイナンバーカードの申請を今年2月末までにしなかった人に対し、「健康保険証短期資格証明カード」を発行する方針を決定したことから、止むなくマイナカードの申請をし、入手した。
なぜなら「短期資格証」は医療現場で一旦、全額を支払い、数カ月後に保険カバー分を還付されることになるからだ。
風邪や単なる腹痛ぐらいなら大した「一時負担」にならないが、交通事故や大病になると莫大な立て替えになるゆえ、仕方ない。
それにしても「マイナカード化は自由意志で」と明記されているのに、完全な差別化を強制し始めたことに強い怒りを感じる。
日本政府はマイナカードの普及に躍起となっている。
「今年3月末までにはほぼすべての国民に行き渡らせる」との目標を掲げ、2020年9月に第一弾、22年1月に第二弾、合計最大2万円分の「マイナポイント」がもらえるキャンペーンを行ない、20年6月時点で16%ほどだった普及率は23年1月現在で約66%に上昇した。
その間、医療機関などでマイナカードを健康保険証代わりに使う「マイナ保険証」の導入と、24年秋に現行の保険証の廃止方針、運転免許証とも一本化を進めるなど、国民にカード取得を強制するような動きを強めてきた。
普及率66%は高いように思えても、「ほぼすべての国民」への取得を目指す政府にとっては、十分でないようで、申請期限の延長を重ねてきた。
カードを作りたくない人の理由を聞くと(各報道機関調査)、個人情報の漏洩を不安視する意見が多い。
実際、政府のデジタル関連のシステムは大抵、脆弱であり、また、普段仕事で政府のシステムと関わることがない人にとっても、自分の情報を一元管理されることに対して抵抗感を持つのは当然であろう。
そうした不安をよそに、テレビでは人気タレントを使ったCMが連日垂れ流されている。
大手広告代理店に巨額の広報予算が流れているのは言うまでもなく、ポイント事業の原資1兆8千億円も国民の税金だ。
もちろん、カード化しない国民にはビタ一文も還元されない。
しかし、あまりに執拗であり、自治体に対してはカード化率次第で国からの交付金が増減されるシステムを通知されている。
一体、どうして、こうも強硬なのか。
マイナポータル規約?
結局、マイナカード化率を高めるために実施したのが健康保険証の一体化だった。
今年4月から、すべての医療機関・薬局でマイナカードが保険証として使えるようになり、現行の紙の保険証は来年秋を目途に廃止することにした。
しかし、これには多くの国民が反発。
そもそもマイナカード化は任意なのに、なぜ強制化するのか。
現時点では、デジタル庁のサイトのQ&Aで、
「マイナカードは、国民の申請に基づき交付されるものであり、この点を変更するものではありません、また、マイナカードがなくても今までと変わりなく保険診療を受けることができます」
とされており、現実の流れとは明らかに異なる。
さらに、今年に入ってすぐに各メディアが、年金や児童手当などの公金受け取りのために、自治体が把握している銀行口座と、マイナンバーを紐づけしようとする新たな策を政府が打ち出そうとしている、と報道した。
一定期間内に拒否をしなければ同意したものとみなされ、自動的に紐づけされていくというものである。
恐らくカード化普及率が7割以上に達した段階で、義務化(紐づけ)されていくものと思われる。
この点は、これまでの早い段階で筆者が言及してきたわけで、全国民の全金融資産状況補捕捉、「資産課税の強化」・「資産状況に応じた公共サービス料金の差別化」に進んでいくだろう。
「マイナポータル利用規約」というものをご存知だろうか。今年1月4日、この規約が改定された。利用規約は17年1月の制定後、これで8度目の改定だ。
マイナポータルとは、マイナカードを使って行政の手続きをオンラインで利用できるサービスのことだ。
自営業者であれば、確定申告で利用している人も多いかもしれない。ほかにも、年金の手続きや医療機関の診療情報の確認などオンラインでできる。
前述のマイナポイント(合計1万5千ポイント)をもらうためには、保険証や公金受取口座の紐づけを行なう必要がある。
しかし、マイナカードを作成する際に、この利用規約を説明している自治体はおそらくほとんどないであろう。
職員さえ、規約の存在自体を知らない者も多いのではないかとすら思われる。
ともすれば、「全国民に既にマイナンバーが割り当てられているのだから、マイナカードを持つか持たないかに違いはない」と解釈している人も少なくない。
しかし、マイナポータルの規約では、マイナンバーカードを作成した国民は、規約に同意した「利用者」という位置づけである。
そして、マイナポータルにアカウント登録することで、デジタル庁と、J・LISに対して一定の情報開示を同意したものとみなすとされている。
「J・LIS」とは何だ?と思う方も多いでしょう。
「地方公共団体情報システム機構」のことで、公式サイトによると「マイナンバー制度関連システムの構築や、地方公共団体の情報化推進支援するための各種事業に尽力」とされている。
だが、こんなことに尽力することが付帯されていると誰もわかっていないのではないか。
そんなわけのわからない組織に、マイナポータルのアカウントを作成しただけで個人情報開示に関する同意を与えたとみなされるのである。
加えて、1月4日に改定される前は、この「デジタル庁」のところが「内閣総理大臣」であった。具体的には「アカウント登録に当たり利用者が内閣総理大臣に対して同意する事項(第四条)」である。
開示の対象は、住民票コード・利用者証明用電子証明書のシリアル番号、健康保険の非保険番号等、個人を特定するものだ。
「内閣総理大臣」が「デジタル庁」に変わっても、いずれにせよ国に対して個人情報開示の同意を与えていることに変わりはない。
そんな大事なことを、マイナカード作成の際には一切説明せずに、ただただ2万円分のポイントがもらえることだけを全面に押し出して取得を促しているのである。
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(この記事は 2023年2月12日に書かれたものです)