FTXの破綻 全ては市場心理が支配!
前回の記事はこちら(全3部構成記事)
https://real-int.jp/articles/1866/
米国株式市場はユーフォリア?
11月9日にはFTX危機が報道されると、S&P500は前日比約2%下落しましたが、ニュースで騒がれているほどの大きな下落にはなりませんでした。
それどころか、救済合併が反故となり、セコイアがFTXの資産価値を0と計上した10日にはS&P500は前日比5.5%、破綻した11日にはさらに1%上昇しました。
これは10日に発表されたインフレを測る最も注目されている指標である米国CPI(消費者信頼感指数)が前年比+7.7%と市場予想の+7.9%を、米国コアCPI(食品とエネルギーを除いた消費者信頼感指数)も前年比+6.3%と市場予想の+6.5%を下回ったためです。
米国の利上げスピードが遅くなり、最終到達地点金利も5%を下回るという楽観論に市場は熱狂しています。ユーフォリア(高揚感)状態というものです。
下回ったといっても7.7%はFRBが目標とする2%には程遠い高さです。
CPIが高止まりするいわゆるPlateau(高原)状態となることも否定出来ないわけです。
このようにエコノミストらが警鐘をならしている今回のFTX破綻事件にも、陶酔状態にある市場は聞く耳をもっていないようです。
やはり10月から12月の間はベア・マーケットラリーが続くようです。
全ては市場心理が支配している、ただしチャートは味方!
市場が関心を持たなければ、暴落は起きません。ファンダメンタルズなどは無意味であり、全ては多くのファンダメンタルズの中から市場がどれを選ぶかだけなのです。
ただし、チャートは裏切らないということは付け加えておきたいと思います。
年初から150円越えまで続いた円安は金利差だというコラムを多く目にしますが、それでは10日のCPIが予想を下回ったことで、11月12日時点で138円台まで円高になったのをどう説明するのでしょうか?
利上げのペースが将来落ちるとしても、4%の金利差は存在しているわけです。
個人的には150円台まで円安が進んだのは、黒田総裁が市場が欲しがっている文言を決して口にしなかったので市場の反感を招いたからだと思っています。
9月から10月にかけて話題となったトラス首相と財務相の交代劇。
元首相は、市場受けするはずの大型減税と初のアフリカ系財務相就任により市場が好感すると思っていたのでしょうが、市場は英国の財務状況を危惧する=通貨と国債の暴落という行動にでました。
その結果、ケーブル(GBP/USD)はパリティ(1ポンドが1ドルの等価となる)に向かうと専門家は予想しました。
その後のハント新財務相の減税撤回と初のインド人首相就任により1.03でボトムアウトしたケーブルは上昇を続け、11月11日時点で1.18となっています。
9月のCPIは10%を超え、7月〜9月期のGDPはマイナスとなっています。
高インフレとマイナス成長のスタグフレーションが2年間続くというイングランド銀行の予想通りの結果であり、根本的な状況は何も改善されていません。
しかし、ケーブルはチャートが示すとおりの上昇を続けています。
市場心理が白といったら黒も白となるのは、株式市場だけでなくFX市場でも同様で、どの市場にも共通なわけです。
興奮状態にある友人を諭しても逆ギレされるか、下手したらぶん殴られるようなものです。
そういうわけで、FTXの破綻は個人的には大事件だと思うのですが、米国市場がユーフォリア状況にある現時点で米国株を売ることはおすすめできないわけです。
つづく・・・
【全3部構成記事】
https://real-int.jp/articles/1866/
https://real-int.jp/articles/1867/
https://real-int.jp/articles/1868/