空前の債券バブル到来 金利0%の社債が完売する異常事態
利回り0%の債券完売
トヨタ自動車グループのトヨタファイナンスは先月、3年満期で200億円の社債を発行しましたが、利回りは何と0%です。
金利が全くつかない債券なので、満期まで保有しても金利はもらえません。
日本で初めての金利0%の社債です。
金利0%の社債は、リスクだけを買うようなものなので誰も買わないだろうと思ってしまいますが、資産運用会社や銀行などから発行額の2倍にあたる約400億円の申し込みがあったそうです。
利回りマイナスの債券完売
さらに8月には日本学生支援機構が発行する財投機関債では実質マイナス金利、具体的にはマイナス0・0005%という債券もあり、購入希望倍率は7倍を超えて売れました。
マイナス利回りでも売れる理由は、日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0.1%のコストがかかっており、金融機関は運用資金の目減りを少なくするためマイナス幅が小さい債券を買うからです。
銀行にとっては格好の抜け道になっていたのです。
破綻しそうだったギリシャ国債が23倍に
ちなみに一時デフォルト懸念があったギリシャ国債(10年)は、2012年には金利約35%でしたが現在1.5%です。
これはギリシャ国債が約23倍に値上がりしたということです。
債券が買われると債券価格が上昇し、債券価格が上昇するということは金利が下落することになります。
破綻しそうな会社の社債はリスクが高いので、買ってもらうためには金利を高くする必要がありますが、現在リスクが高いジャンク債が大量に買われているためにジャンク債も金利が低下しています。
ハイイールド債とはジャンク債
ちなみにジャンク債というと悪いイメージなので、ハイイールド債という表現をされることが多いです。
イールドといえば、今年「逆イールドが発生した」という報道で騒がれました。
逆イールドとは、通常、短期金利より長期金利が高いのですが、反対に短期金利の方が長期金利より高くなる現象です。
相場がおかしいという警告と思っていただくとよいです。
長期金利が低いということは、市場が先行きの景気が悪いと判断しているととらえることができます。
いずれにしても個人投資家は、低金利を得るためにリスクを取るのはナンセンスなので、現在は債券や株を買うのではなく、銀行預金にしておいたほうがよいことになります。
マイナス金利は異常事態
債券の世界は総楽観なわけですが、金利0%の社債が売れるということは過去にない異常事態であるという認識が必要です。
総楽観の時は注意が必要な時です。
日刊ゲンダイWEB版にも掲載