物件の運用戦略
手取り収入を増やす2つの方法
実際に手取り収入を増やすための2つの方法について、説明していきます。
手取り収入=家賃収入-経費
なので、
①経費を削減する
②家賃を上げる、空室をつくらない
が必要になります。
①経費を削減する
経費を削減するにはどうしたら良いでしょうか?区分所有の場合、経費削減は難しいです。区分所有の場合、経費は以下の5つになります。
・管理費
・修繕積立金
・固定資産税、都市計画税
・管理会社に支払うPMフィー
・保険料
このうち削減できるのは、以下の2つだけです。
・管理会社に支払うPMフィー
・保険料
管理会社に支払うPMフィーとは、賃料の徴収やクレーム処理などを管理会社に頼む際に支払う管理料のことを指し、だいたい月額家賃の3%~5%ぐらいになります。通常は物件を購入した不動産会社に、そのままお任せするパターンが多いです。(鍵の引き渡しなどがスムーズなため)もう一つは、管理会社に頼まず自分で管理する(自主管理)方法があり、こうするとPMフィーは0にすることができます。
自主管理のメリットとしては、
・経費削減になる
・借主と直接やり取りできるため、関係ができる(家賃滞納などのトラブルが起きにくい)
などがありますが、一方でデメリットとして、
・入居者募集の手配から、家賃管理、クレーム処理、更新業務、退去時の敷金精算などを自分でおこなう必要あり
・区分マンションの場合、4万円の家賃のPMフィーは2,000円程度であり、管理会社に任せた方が楽
などがあり、個人的には自主管理よりも管理会社へ任せることをお勧めしていますが、自主管理も勉強になるので、時間があれば1つぐらいはぜひ挑戦してみてください。
もう一つ削減できる経費は、火災保険料になります。火災保険料は必ず入る必要がありますが、経費の削減については、
・長期契約にする
・一括支払いにする
の2つがあります。
保険期間が5年までの契約は、「長期年払い」ができます。(保険期間を5年で設定しますが、保険の支払いは年払い)保険期間が6~10年までの契約は、一括払いになります。
保険の中に、建物電気的機械的事故特約という特約がついている保険会社があります。これはとても良い保険なので是非活用してもらいたいのです。建物電気的機械的事故特約は、室外機やクーラーといった電気に関わるものの修理交換は、全て保険で賄うというものです。保険料も特約をつけてプラス2千円程度なので、是非つけていただきたいです。三井住友海上や、東京海上などの代理店ですと、この特約をつけることができます。
②家賃を上げる、空室をつくらない
ここ1年くらい、月に一度勝ち組の大家さんにインタビューをとして、空室対策について色々聞いていますが、大変勉強になるので皆さんにシェアしていきます。一つはできるだけ長く入力してもらうということで、入居者の不満を聞いているそうです。
入居者の不満は、
・設備が老朽化している
・管理会社がクレームにすぐに対応してくれない
などが多くなっています。しかし、引っ越し代等を考えると、入居者も住み続けた方が得なので、そのような不満を解消してあげる必要があります。その他にも、
・誕生日プレゼントとともに満足度チェック表を渡して、現在の不満をチェックしてもらう
・水回りクリーニングサービスをプレゼント
・更新時に更新料をもらわずに、スイーツや商品券のプレゼント
など、大家さんはそれぞれ色々な努力をしています。
それでも入居者が出てしまった場合、ワンルームで業者が入ってリフォームをすると、何十万円といった費用がかかります。月3~4万円ほどの賃料のところに、1回入居者が出るたびに何十万円の費用がかかると、一気に赤字になってしまします。その場合、自分でお金をかけずにDIYなどで、部屋の内装を少しだけ豪華にする大家さんもいます。その場合によく使われているのが、
・ホームセンター等に売っているコンセントカバーでオシャレ感を出す
・照明器具を新しく取り替えて、明るく高級感を出す(1万円以内で買えます)
・キッチンの水栓を「シングルレバー」に交換(1万円以内で買えます)
・玄関にお洒落な鏡を置く(1万円以内で買えます)
などの方法です。その他にも、
・家具付きで貸す(レンタルなどを活用)
・SNSを活用して自分の物件写真を載せていく(写真の撮影を工夫することで、賃料5万円の部屋を8万円で貸し出した例もあります)
などの工夫をされている大家さんもいます。
手取り収入を増やすための裏ワザ
さらに裏ワザを2つ紹介します。
①管理組合の理事になる
管理組合の理事になると、管理費の見直しができるため、高い清掃業者から安い清掃業者へコスト削減が可能になります。大京のライオンズマンションは、とても外観が綺麗で値崩れが起きにくいですが、一方で管理費修繕積立金が他のマンションよりも高くなっています。以前私が紹介したライオンズマンションは、大京ではなく違う業者が管理しており、管理費修繕積立金が安くなっていました。これは、管理組合が清掃業者を違う業者へ変えたために、このようなことが起こっています。管理組合の理事になって、管理費の見直しをすることは是非やってください。
②マンションの収益力を高める
・携帯の中継地として貸し出す
以前ご紹介したマンションの中で、携帯電話の中継地として貸し出していたものがあり、毎月100万ほどの収益が入っていたので、管理費修繕積立金の安い物件がありました。マンションの理事になって、au、ソフトバンク、ドコモなどの当該部署に確認すれば、もしかすると中継地として貸し出せるかもしれません。
・自動販売機を設置する
マンションは、わりといい立地の場合が多いので、周辺の方がその自動販売機を使うため、あればそこの収益が上げられます。これもマンションの理事にならないと提案できないので、区分所有マンションを1棟買って、理事になることをお勧めします。
それでも決まらない場合の手段
それでも決まらない場合は、以下の手段があります。
・広告企画料として、もう1~2か月分不動産業者に支払う
・フリーレントをつける
・賃料を下げる
・敷金1ヶ月、礼金をゼロにする
昔は、敷金2ヶ月礼金2ヶ月と言っていましたが、現在はそのような物件がほとんどなく、最初に敷居を低くして入りやすくするというのが、最後の手段となっています。
なぜ借主が決まらないのか?
なぜ借主が決まらないのか?については、以下の問題が考えられます。
・管理会社の募集の問題(自分の頼んでいる管理会社が、適切な方法で募集をしていない)
・賃料の問題(賃料が高い)
・リフォームの問題
この中でも、良い管理会社を見つけることは非常に重要です。良い管理会社の見分け方のポイントは、
・その地域に精通している(千葉だったら地番に精通しているなど)
・インターネットなどを使って、きちんと募集業務をしている(アットホームなどのサイトをきちんと活用しているなど)
・入居者からのクレーム対応を基本24時間受け付けている
・社員教育が良くできている、電話での対応が良い
・営業能力がある
・横柄でない
などがあげられます。
次に、リフォームに関して説明していきます。皆さんにお勧めしている200万円~300万円くらいの1Kマンションは、少ないところだと賃料が2万円の物件もあります。その場合、キレイにリフォームをすると一気に利益がなくなることもありますので、割り切って簡単なクリーニングだけにすることが重要です。セルフリフォームに挑戦して、キレイに見せるような工夫をする程度にとどめましょう。
この価格帯の借主は、賃料で入居を決めているケースが多く、あまりリフォームに力を入れても決まるかどうかはわかりませんので、リフォームへの投資は最小限に抑えましょう。
1棟アパート・マンションの収益力を上げる裏ワザ
次に、1棟のアパート、マンションの場合の収益力アップ裏ワザについて説明していきます。こちらも、大家さんから色々と聞くことができましたのでシェアします。
・屋根に太陽光パネルを付ける⇒売電
・自動販売機
・携帯の中継地として貸す
・バイク置き場として貸し出す屋根に太陽光パネルをつける
買ったそのままで収益力を高めようと思っても、それ以上賃料を上げることはなかなか難しいので、このように付加価値を付けることで収益力を高めるなど、転売の際により高く売るための努力が必要になってきます。
出口戦略について
譲渡所得税に注意
皆さんが大家さんになった際には、出口戦略を考えておく必要があります。その1つが5年です。5年経つと、売却も視野に入れておきましょう。今みたいにすごくいい時期には、例えば5年前に買って今見たら物件によってかなりのキャッシュが出てきます。では、なぜ5年以降なのかというと、これは税金の関係になります。利益が出ていなければ関係ないですが、利益が出たときに、譲渡所得税が変わってくるのです。
今は復興税が付いているために中途半端な税率となっていますが、5年以下のもので転売して利益が出ると、短期譲渡所得として税率39.63%がかかってきます。一方で、5年を超えると長期譲渡所得として税率20.32%に抑えられますので、できれば5年を超えたときに転売したほうがずっと得になります。
インカムゲインとキャピタルゲイン
不動産投資をするなら、インカムゲインもキャピタルゲインも狙うことが重要です。5年間所有して5年間の賃料収入をたっぷりと得たうえで、5年後に売却してキャピタルゲインを狙うというのが、不動産投資としては1番の大成功です。
最近では、リーマンショックの後や3.11の後に不動産を買った方は、変な不動産を買った方でも利益が出ています。不動産は、いつ買うか?というのが大変重要ですが、皆さんが買いたい時期というのは、本当は買ってはいけない時期なのです。
普通の人が買いたいと思うときは、売る時期なのに買ってしまう。これは、業者も同じです。不動産業者というのは、常に買っていかなくてはいけないので、今買う時期でなくても買っています。例えば、本来はリーマンショック後に買うべきなのですが、そのような時は買えないのです。
リーマンショック後に何件かコンサルティングした際には、2割引が普通でした。例えば一億円の不動産が、8000万ぐらいで買えるということが普通だったのです。しかし、今は5000万円の不動産が、5500万円で買えるような状況になっています。
税金の注意点
税金の注意点について説明していきます。不動産の所得税率は、本業と合算して考える必要があります。例えば、皆さんがサラリーマンで、年収400万円あるとします。家賃収入も400万あるとすると、合計800万円になります。800万円で課税される所得金額は、695万円を超え900万円以下に該当するので、税率は23%になります。
よって、800万×23%-636,000円(控除額)という計算になります。
この課税される所得金額によって、税率が上がってしまって損をしてしまう方もいると思います。そのような所得の多い方は、最初から法人名義で購入するまたは、個人と法人で使い分けて購入することで税金対策ができます。気をつけなくてはいけないのは、最初に個人で買ったものを法人に移し替えると税務署が入りやすくなります。
その価格は適正なのかどうかわからないので、これを同族間売買と呼びます。個人から法人に移す時は、実は適正な価格で買えましたよというお墨付きが必要で、鑑定評価書が必要になるのです。よって、個人で買ったものを法人に移す時には、注意が必要となります。