建物の評価を決める方法
建物の評価を決める方法
建物価格を求める方法
建物の価格を求める方法は下記となります。
建築単価×延床面積×(残存年数÷耐用年数)
(例) 築5年の木造アパートの建物価格(単価180,000円/㎡、延床200㎡)
180,000円×200㎡×(17年÷22年)≒2,780万円
鑑定では、実際に見てみてぼろい場合や、使い方が悪い場合は、観察減価として減価していきますが、銀行の担保評価の場合はそのようなことはないので、建物価格は一律に求めていきます。
マンションの修繕計画
区分マンション買う場合は、最初から修繕計画というのが決まっており、毎月修繕積立金や管理費を支払えばOKですが、1棟の建物を持っている場合は、自分でやっていかなくてはならないため、修繕計画を立てていく必要があります。マンションは、rcだとだいたい50年もつと言われています。税務上は47年ですが、実際ちゃんと使えば50年~60年、極端に言えば100年でも持つと言われています。ですが、持たせるためには毎年きちんとお金を積み立てて、一定期間に修繕する必要があります。
新築後の更新サイクルは、10年が一つの目安です。新築後の更新サイクルは以下のようになります。
10年更新・・・給湯器・屋上防水
15年更新・・・空調機・ボイラー・ポンプ・照明
20年更新・・・衛生機器等
25年更新・・・エレベーター取替等(エレベーターがないほうがお金はかかりません)
30年更新・・・配水管・吸水管・ダクト
このように常に更新していく必要があります。
よって、1棟で購入している場合、建物再調達価格の1%程度を毎年積み立てる必要あります。
建物再調達価格が5,000万円の場合
5,000万円×1%=50万円
これを毎年プールして貯金していかなくてはいけません。そして、この10年後~30年後の長期に修繕で変えていかなくてはいけません。
修繕計画サイクルによる費用負担
修繕計画サイクルによる費用負担については、更新サイクルが重複することもあります。20年更新と10年更新が重複すると、一気にその年は金額が出て行ってしまうので、毎年必ず1パーセントをプールする必要があります。30年経つと、30年更新10年更新15年更新のものが一気に来てしまうため、そこでお金がないと大変なことになってしまいます。しかし、きちんと大規模修繕していかないと建物はどんどんためになってしまうので、そうすると転売もできなくなってしまいます。
市場には、よく20年くらいのマンションが出てきます。平成バブルの終わる前に建って、25年以上経っているマンションです。その理由は、修繕費がかかるという点です。市況がいい今、修繕費がかかることを勘案して売ろうというような考え方です。そして、新しくまた修繕のあまりかからないマンションに買い換えようとしているのだろうと推察しています。1棟マンションは、買った後でこんなにお金がかかるのっていうこともあるので気を付けてください。
要注意のアスベスト
もう一つ注意する必要があるのが、アスベストです。少し前に有名になりましたが、アスベストを吸ってしまうと肺ガンなどガンにかかりやすくなってしまいます。現在では、アスベストは使用禁止になっていますが、1975年以前のS造ビルに吹き付けのアスベストが使われています。こちらは、ほぼ使われていると考えていいので、1975年以前の S造ビルは買わないようにしましょう。
アスベストは、使用実態の把握が大変困難です。建築資材の種類は3000種類以上あるので、簡単な目視だけでは石綿除去や石綿の専門家でも判断が困難な場合があるのです。アスベストが付いているビルは、解体に多額の費用がかかりますので、こちらも注意が必要です。
マンションの値段のつけ方
皆さんが最初のマンション購入をする際には、簡単なので区分マンションをお勧めしています。区分マンションについて、どのように値段をつけるのか?ということについて説明していきます。マンションの価格は、
・階層と位置
・ルーフバルコニー、専用庭の有無
によって異なります。
私たちが新築マンションの鑑定を頼まれた時につける評点についてお伝えします。まず、1階は評点が落ちて例えば98とか96になります。これは、窓を開けた時の道路の位置によって少し異なりますが、だいたい98くらいになります。そして、3階・4階になるにつれて評点が1%~2%ほど上がり、6階以上は評点が変わらないような形になっていきます。
位置によっても評価が変わってきます。角部屋だとプラスになっていたり、一番上にルーフバルコニーがついていたりすると、人気が高いのでその分評価が上がってきます。1階には、人気がないのをカバーする意味で専用庭付けられる場合がありますが、この場合は係数が上がります。専用庭も、門扉がついていてそこに車を停められるとなると、戸建て感覚になるので、その場合はさらに付加価値として評価が高くなっていきます。
開放部によっても、点数が違ってきます。先ほどの住宅地と同じように北が0とすると、南が5、東西が2程度を一つの目安として考えていきます。しかし、実際は西日よりも東のほうが好きという方が多いので、そうすると実際は東のほうが少し高得点だったりする場合もあります。
積算価格と収益価格の関係
積算価格と収益価格は、本来一致しなくてはいけません。しかし、一致するということはほぼなく、積算価格が高い場合もあるし収益価格が高い場合もあります。どういう場合に積算価格が高くなったり、収益価格が高くなったりするのか?について説明していきます。
①積算価格>収益価格
・土地面積が大きい
・住宅地域に存する(第1種低層住居専用地域など)
・融資⇒担保評価が出やすい
・固定資産税が高い
・相続税対策に不向き
例えば八王子の山奥で、土地の価格が結構安いものの、面積が大きいので担保評価がすごく高く出てしまってほぼフルローンを組めるという場合があります。しかし、欠点もあります。土地面積が大きいので固定資産税が高くなってしまうのです。
加えて、相続税対策には不向きです。土地面積が大きいために評価が高く出てしまって、相続税が高くなってしまうのです。よって、税理士はこのような積算価格が高くなる土地は顧客に勧めてないようです。相続税対策としては土地面積が小さい方が有利です。これが、積算価格>収益価格の例です。
②収益価格>積算価格
・商業地域に存する(容積率が大きい、上に建つ)
・担保評価が出ない銀行もある
・相続税対策向き
※都心の商業ビルは積算価格と収益価格のかい離が大きい(収益価格が高い)
例えば銀座のビルは、商業地域に存する土地建物です。銀座のビルは、容積率が600%や800%と大きいので、上に建物が建っていきます。そうすると、銀行によっては融資できない積算価格で評価することがあります。評価額の7割~6割程度でした融資できないという話になる銀行もあります。
このような土地が小さいところは、実は相続税対策向きです。税理士は、住宅地域にある土地建物よりも例えば銀座のペンシルビルのようなものを勧めてきます。土地の面積が小さいので、相続税評価額が低くなるためです。都心の商業ビルは、積算価格と収益価格の乖離が大きく、収益価格が非常に高くなります。よって、積算価格で評価している銀行はなかなかこのような商業地にビルへ融資しないということがあります。
銀行の評価の方法
では、銀行はどのように評価をするのでしょうか?それは、銀行によって異なります。例えば静岡銀行は、積算価格で評価しています。一方で、りそな銀行は、収益価格で評価しています。収益価格が大きければ、それだけ担保としての価値があると認められて、多額のお金を融資してくれます。ただ注意事項としては、銀行の融資が通る不動産は、必ずしも優良物件とは限りません。
例えば、先程の八王子の不動産のように、山奥で交通も不便なところでも土地面積が大きくて建物が新しければ銀行は多額の融資をしてくれます。そのような土地建物は、現在の投資不動産が過熱している時期は良いですが、それが終息して市場が落ち込んだときに、売りづらくなってしまう可能性があります。つまり、時期によって売れる時と売れない時が出てきてしまうので、銀行の融資が通っていたとしても、必ずしも良い物件とは限らないのです。
また、木造築20年以上、軽量鉄骨造築20年以上の物件も注意が必要です。耐用年数を既に超えている物件でも、個人の属性や銀行によっては融資をしてくれます。しかし、このような物件は、転売の際に自分と同じような属性の方でないとローンが組めないために買ってもらうことができません。特定の人しか融資がつかない物件は、注意が必要になります。