蘇るNATOの実像を知るべし
NATOを甘く見たロシア
ウクライナがNATO加盟国でないことは明白であるが、米国を含むNATO諸国も、パートナー国であるウクライナ領内に自国部隊を配備する計画や意図が無いことを、早々に表明したことでロシア側の作戦に向けた軍事的姿勢を助長することになり、結果的に侵攻を抑止できなかった。
しかし、NATOの強力なウクライナ軍援護がなければウクライナ国家が、侵攻後の数日でロシアに制圧されていたであろうことも事実である。実は、今後のロシア(プーチン)の動向は、このNATO次第となる可能性が高い。NATOの実態は意外に知られていないのである。
現在、NATO(北大西洋条約機構)は加盟国に対するロシアの軍事的影響を排除すべく、130機を超える戦闘機や200隻以上の艦艇による警戒監視活動を継続する他、新たにルーマニアに多国籍戦闘群を展開することを決定し、その要因として既にフランス軍500人の派遣を終えるなど、地上戦力の増強を断続的に行っている。
この結果、NATO外縁の東方側面に位置するバルト三国、ポーランドにおける「増強前方戦闘群」の強化に加えて、南東部側面にも新たな戦闘群が展開し、ロシアの軍事脅威に対するNATO領域防衛の盾が張り巡らされつつある。
また、最高意志決定機関であるNAC(北大西洋理事会)の承認を得て、多国籍の陸海空軍で構成される最大4万人規模のNATO即応部隊(NRF)が今回、初めて実戦配備の任務に就くことになった。
2004年の運用開始から約20年の時を経て、危機管理から集団防衛まで幅広い危機事態に至短時間で対応することが要求され続けてきたNRFは、これまで主にアフガニスタンでの避難民支援や大統領選挙支援などの非軍事的な活動にとどめ置かれたが、今後、ロシアの脅威対処において如何なる軍事的役割を果たしてゆくのか。
ウクライナ侵攻後、3週間が過ぎたが、いよいよ真価を試される時機を迎えている。
ハイブリッド戦争への対応
今後のウクライナ戦争の推移は予断を許さないが、予想を超えるウクライナ側の抵抗、善戦ぶりは顕著であり、大方の予想に反してプーチンの戦争は長期化しつつある。
その中で、ロシアが幾つかの戦闘において勝利を収めるものの、戦術的には作戦が停滞し、焦燥感をつのらせていることは確かだ。
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(この記事は 2022年3月23日に書かれたものです)
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