バイデンVSプーチンの行くえは?
★★★上級者向け記事
3月1日、ロシアのウクライナ侵攻の中、バイデン米大統領(以下バイデン)は、一般教書演説を行った。
ウクライナへの支援とロシアへの警告、そして自由は専制に勝つ、という冒頭の部分では最近の大統領の一般教書演説では見られなかった、超党派のスタンディングオベーションをみることができた。
これが中間選挙を睨み、政権にとってどれだけの追い風になるかはわからない。
ロシアのウクライナ侵攻の情勢は予断を許さない上に、基本的に米国はウクライナへの軍事支援とロシアへの経済制裁、そしてNATOへの派兵を行っているため、これがどのように動くのかは未知数である。
ここでは、これまでのバイデン政権の経済制裁を中心にした関与姿勢から、その戦略を考察し、それが今後の世界にどう影響するかを考える。
一般教書の意義
ウクライナへの連帯で、分裂した民主・共和党の議員がまとまったように見えるバイデンの一般教書演説だったが、その中身は、基本的には内向きなものだった。
大統領が「バイアメリカン」を強調して、国内産業保護を訴えたときに、会場から大きな「USAコール」の合唱が飛び出したことはさすがに違和感を感じた。
これまでの「USAコール」は9.11テロを契機にした“テロとの戦い”やイラク戦争開戦など、
米国を軍事力で守り、戦うという場合に使われたことが多かったからだ。
それが、保護主義を擁護する内容で使われていることはバイデン政権の基本的な姿勢である
「中間層のための外交政策」のラインである。
そもそも、バイデン政権は米軍のウクライナへの派兵を否定しており、本来適切な軍事介入の姿勢を見せていれば、ロシアのウクライナ侵攻を防げたかもしれない。
しかし、共和党を代表してバイデンの一般教書演説への対抗演説を行ったアイオワ州知事からはバイデンが昨年、ノルドストリーム2に関わるロシア系企業に対する制裁を解除したことへの批判はあったが、むしろ批判の対象はバイデンが多くの時間を割いたインフレ対策などの
経済政策であり、かつての共和党の国際派ならば批判していたはずの中途半端な介入姿勢に
対する言葉はなかった。
例えば、ブッシュ(子)政権は、ロシア・グルジア(ジョージア)戦争において、ロシア軍の侵攻が首都ドビリシに迫る中、人道支援を行うと宣言して、米軍に支援物資をドビリシの空港に空輸させ、そのまま米軍機が着陸して動かない、という状況を作り、ロシア軍の首都制圧をためらわせ、その間にコンドリーザ・ライス国務長官が現地入りして、停戦協議のための調停を行っている。
このストーリーは、最近のワシントン・ポストにも掲載されており、この巧みな軍事力と、
外交力の組み合わせと比較して、バイデン政権を批判することもできたはずだ。
少なくとも、現時点でみれば、米国と欧州の連携強化と経済制裁は、ロシアの侵攻を抑止
できなかったばかりか、さらなるエスカレーションを抑止する上で有効かどうかはわからない。
しかしアイオワ州知事(レイノルズ氏)は、その点を追求することはなかった。
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(この記事は 2022年3月12日に書かれたものです)
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