日米合同委員会という名の伏魔殿
★★★上級者向け記事
オミクロン株の日本での感染急拡大の一因に在日米軍の行動があるとされている。
軍用機で入国する米軍関係者の感染防止、規制の実態が今でも明らかにされていないし、基地から街中への出入りも、当初は何の規制も科すことはなかった。基地内での新規感染者もそのうち、何人がゲートを出入りする日本の軍属、もしくは勤労者なのかも定かでない。
また、これまで数多くの在日米兵による日本国内・基地近郊で起こした犯罪・事故の処分についても「日米地位協定」を理由に、ほとんどが治外とされ、ウヤムヤにされてきたことは言うまでもない。
日米が親密な安全保障条約下で互いに主権を尊重しながら、在日米軍を受け入れ、協力し合っていくという姿勢が貫かれているなら問題はない。だが、実態は我々が想像もつかないほど米国の一方的な主導権下にあり、完全な属国扱いとなっている。
今、ここで「日米合同委員会」なる伏魔殿のほんの一角を記すが、多分、日本の市井人の中で知っている方はゼロに等しいと思う。
日米合同委員会の全体像
日米合同委員会という、名前だけは知られていても、その実態は謎につつまれた、日本のキャリア官僚と在日米軍の高級軍人からなる組織(日本副代表=外務省北米局長、米側代表=在日米軍司令部副司令官)。
その組織が、何十年にもわたって隔週の木曜日ごとに都心の米軍施設や外務省の密室で、日米地位協定の解釈や運用について人知れず協議を重ね、米軍の特権を維持するために数知れぬ(膨大な)秘密合意=密約を生み出している。
しかもそれらの密約は、日本国憲法にもとづく日本の国内法(憲法体系)を無視して、米軍に治外法権に等しい特権をあたえている。
たとえば「横田空域」という、首都圏を中心に一都九県の上空をすっぽりとおおう広大な空域がある。そこは日本の領空なのに、日本の飛行機が自由に飛べず、米軍が戦闘機の訓練飛行や輸送機の発着などに独占的に使用している。
この米軍の巨大な特権に、実は国内法上の法的根拠が全く存在せず、日米地位協定にも法的根拠が明記されていないという衝撃の事実を、はたして何人の方々が知っているか。
日本の空なのに航空交通管制権を横田基地の米軍が握っていて、日本側のコントロールが全く及ばない。つまり事実上、日本の空の主権が米軍によって奪われているのである。しかもそのことに国内法上の根拠がない。独立国としてあるまじき状態が独立回復後、60年以上も続いている。
日米合同委員会で合意さえすれば、何でも有りになってしまう。「『日本地位協定』の実態に関して相互間の協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と、合衆国政府との間の協議機関として合同委員会を設置する」(1952年4月)
日本地位協定発効にともない、日米合同委員会は発足した。委員会は日米13名で構成されている。
日本側
外務省北米局長(代表)・法務省大臣官房長・農水省経営局長・防衛省地方協力局長・外務省北米局参事官・財務省大臣官房審議官
米国側
在日米軍司令部副司令官(代表)・在日米大使館公使・在日米軍司令部第五部長・在日米軍司令部参謀長・在日米空軍司令部副司令官・在日米海軍司令部参謀長・在日米海兵隊基地司令部参謀長
これら日本のキャリア官僚と米国の高級軍人・外交官からなる日米合同委員会が、いわゆる本会議として位置づけられている。そして、その下に補助期間として各種分化委員会や各種部会などが下部組織として置かれ、日本側だけでも総勢150人内外のキャリア官僚が配置されている。米国側も佐官・尉官クラスの軍上層部が担当している。
しかし、合同委員会メンバー13名のうち、米国側7名中、6名が軍人で、しかも下部組織(分科会・部会等)のトップもすべて在日米軍司令部所属であるという実態の意味は、一体何なのか。日本側が各省庁の官僚(文官)であるから、通常の国際協議ならば相手側も文官であるはずであろう。
つまり、米国の意向に沿って常に軍事的視点から協議にのぞみ、軍事的必要性にもとづく要求を出してくるシステムに当初からなっているのである。米軍基地の運営や訓練をはじめ、ありとあらゆる軍事活動を円滑におこなうことを、最優先にしているわけである。
そして、米軍に非常に大きな特権を認める日米地位協定の、徹底した米軍優位の規定がある以上、地位協定の具体的な運用について協議する日米合同委員会では、ほとんどのケースで米国側の要求が通っているのが実態である。
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(この記事は 2022年02月03日に書かれたものです)