ロシアの謀略が欧州で一気に浮上

★★★上級者向け記事
米国債利回りと原油価格の相関
米国債利回りが10月の物価上昇率(前年同月比)6.2%、コア物価上昇率も同4.6%と、実に30年ぶりの上昇率となったにもかかわらず上昇しない。
その一因として、当リポートも以前から指摘していたことでもあるが原油価格の動向がある。
「原油価格が上昇トレンドの中では米国債利回りも上昇する相関にある」との見方である。
確かに原油価格は10月下旬まで上昇トレンドだったし、例えば米国10年債利回りも1.7%手前まで上昇の一途をたどった。
しかし、原油価格はその後1バレル80ドル台前半(WTI)で頭打ちの様相を呈していて、米10年国債利回りも1.5~6%台で推移している。
この米国債利回りと原油価格の高い相関については、もう少し説明が必要であろう。
実は債券市場のみる期待インフレ率(先々のインフレ率見通し)は、原油価格に左右されるところが大きい。人々はガソリンスタンドでガソリン代を払うときにインフレを感じるためとされる。
つまり、現在、期待インフレ率が頭打ちとなっているのはガソリン価格が、高止まりになっているためであり、期待インフレ率の頭打ち=米国債利回りの頭打ちとなって結果的に、「米国債利回りと原油価格の高相関」に結びついている。
その原油価格動向の今後については、天然ガスの価格・供給量の行くえが最大のキーポイントになりそうだと当リポートで記した。
天然ガス価格が大きく高騰し、その代替として原油需要が拡大したことで、この春先から原油価格が50ドルから80ドル台に跳ね上がった。
天然ガスの40%以上をロシアからの輸入に依存している欧州諸国が、供給量の削減に見舞われたことを指す、「ロシア VS EU」の政治的バトルの今後の動向こそが、米国債利回りの今後を占う、というわけである。
さて、その「ロシア VS EU」の情勢が一気に米国も巻き込む一大事の様相を呈してきた。
ロシア・ベラルーシ VS EU
旧ソ連圏ベラルーシ(ルカシェンコ独裁政権)からEUを目指す2千人以上の移民や難民が、ポーランド(EU加盟国)東部の国境地帯に押し寄せ、緊張が高まっている。
フォンデアライエン欧州委員長(EU首相)は8日、「ベラルーシがEUに圧力をかけるため、移民を道具にしている」と非難。EUへの「ハイブリッド攻撃」だとみなし、対ベラルーシ制裁を強化する構えを示した。
ポーランド政府は、ベラルーシが査証を発給して移民を、EU側に故意に送り込もうとしていると主張。国境地帯に軍兵士1万5千人を派遣して警戒にあたっている。移民の多くはイラクのクルド人やアフガニスタン出身者だという。
ポーランドに隣接するリトアニアは9日、ベラルーシからの移民流入を警戒し、ベラルーシ国境地帯に非常事態の導入を決めたと発表した。
ベラルーシの大統領は11日、EUが追加制裁を科せば自国を通るロシアから、欧州への天然パイプラインを遮断すると警告した。
ロシアのラブロフ外相は「EUやNATOの中東介入こそ移民危機の原因だ」とし、ベラルーシを擁護した。
EUのベラルーシ制裁は、ベラルーシがEU上空を通過した欧州の旅客機を強制着陸させ、政権に批判的なジャーナリストを拘束した事件を受け6月に経済制裁として発動した件。
この頃からベラルーシを経由してポーランドやリトアニアに向かう移民、難民が急増。ポーランド国境では今年だけで3万人以上が越境を試み、リトアニアでは4千人以上が拘束されたという。
EUは背後にロシアの意図があるとみている。
ドイツ・メルケル首相は11日も電話でロシアのプーチン大統領と協議。プーチン氏は併合を主張するクリミア半島付近でのNATOの動きなどに懸念を示した模様だ。
メルケル・プーチン会談は2日連続。11日にはプーチン氏がEUとベラルーシの対話の再開を求めた。
ロシア大統領府によると、同日の会談ではロシアが2014年に一方的な併合を表明した、ウクライナ領クリミア半島に近い黒海での米国やNATOの活動についても協議した。
米欧は併合を認めず、ロシアに制裁を科し続けている。ロシアはクリミア半島付近での米欧軍事的な動きを警戒しており、プーチン氏が改めてメルケル氏に不満を表明した可能性がある。
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(この記事は 2021年11月16日に書かれたものです)