中国の電力供給ショックの威力

★★★上級者向け記事
電力不足は世界経済に一大事
中国恒大集団危機を核とした「中国版リーマンショック」論が市場を動揺させているが、共産党中央・政府による事実上の債務丸抱えで当面を乗り切ることは明らかであり、不動産市場の崩壊につながることもないだろう。
ましてや、世界経済に著しい負の連鎖を波及させることもない。そんなことより、世界経済にとってはるかに危険なのは中国の深刻な電力不足が広がってきたことだ。
当局が環境対策として石炭を主燃料とする火力発電所の発電抑制に動いたことが要因で、同国メディアは全国の約3分の2の地域で電力供給を制限したと報じた。
米アップルやテスラ部品を生産している工場が操業を停止し、日経企業にも深刻な影響が出始めた。
この電力不足の根源的原因は、中国習近平国家主席が掲げた「2030年までにCO2の排出量をピークアウトさせ、2060年までに実質ゼロにする」との目標実現に向けて地方政府が、達成に向けて懸命になったのだ。
多くの地方政府はこれまで、コロナ禍で低迷した地域経済の立て直しを優先してきた。ただ習指導部が一転して排出量抑制にカジを切ったことから、環境対策の強化に動いた。
石炭価格高騰・供給不足という状況もあって、火力発電所が急速に発電抑制に追い込まれた。火力発電は中国の発電量全体の7割近くを占めるだけに、電力不足が深刻さを増している。
石炭価格が1年前に比べ3割以上も上昇したことも、稼働率の低下につながったようだ。
習主席の環境対策は能書きにあらず
中国の人口は2005年の13億756万人から20年には14億1178万人(世界人口の約20%)に増え、実質GDPは2005年の18兆4937億元から20年には101兆5986億元(約1727兆円)に増加した。
中国が大量生産・消費による成長から省エネ・排出削減による持続的な成長へと、政策を転換させた分岐点は2005年である。
人口の増加と経済成長に伴い消費や排出の絶対量は増加し続けてきたが、GDP単位当たり(1万元創出当たり)のエネルギー消費、CO2排出の削減という経済発展と、両立する形で数値目標を設定し、省エネルギーやエネルギー源の多角化について、一定の成果を出している。
2015年にはCO2排出の絶対量を2030年までに減少に転じさせる(ピークアウト化)ことを、2020年には2060年の排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指すことを、国際社会に表明した。
8月17日(「共同富裕」論の習主席講話がなされた日)、国家発展改革委員会は、各地に対しエネルギー消費強度(単位GDP当たりのエネルギー消費量、強度が低いほどエネルギーの使用効率は高く、環境にとってプラス)と、消費総量コントロールの二重制御(双控という)の目標の達成状況を発表。
3段階にランク付けをした。
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(この記事は 2021年10月3日に書かれたものです)