FOMC通過後 市場の見方に大きな変化
FOMC通過でグローバルで金利は低下、円の立ち位置確認
物の価値、物価は上がらないという21世紀の新たな価値観に修正が入りつつあります。
金融資産を蓄えた引退世代の増加、インターネット通販の普及、海外からの安価な労働力の流入、比較サイトの存在、こうした金融市場のデフレ要因に今、修正が入り始めています。
人の移動制限、ワクチン供給・接種の偏り、いま世界の一部で起こっているのは需給ギャップの緩和どころか拡大、物価の押し上げ要因なのです。
通常インフレは購買力低下、通貨価値の下落からその通貨の売り要因です。
ただ、この先、経済活動の再開などから主要国の利上げが早まり、こうした物価の押し下げを上回る金利の上昇があれは前提は覆ります。
つまり、通貨買い。そのように考えますと分かり易いです。
おそらく円は最弱から円売り、当然、それ以外の通貨は選択的に買いとなるはずです。
セントルイス連銀のブラード総裁の発言
昨日(6/18)の東京時間は、FOMCを通過したことから材料難、日銀金融政策決定会合の注目度も低く、やや様子見姿勢強い展開が継続しました。
欧米時間に入り、セントルイス連銀のブラード総裁がCNBCとのインタビューに応じ、「2%の物価上昇が続く場合、最初の利上げは2022年後半」になる可能性が示唆されました。
ブラード総裁は、FOMCメンバーのなかではハト派色がかなり強いことで有名で、2019年9月のFOMCでは、予防的利上げの幅として実に50bp(0.50%)を主張した過去があります。
この発言を受けて米10年債金利は1.47%付近から1.52%へ上昇。為替市場では多くの通貨に対しドルが買われ、USDJPYも東京時間の安園109.94より昨日高値110.48まで反発しています。
ただ、こうした動きは続かず、週末を控えた金曜でもあり、ドルは主要通貨に対し高値圏より緩やかに反落して引けています。
リフレトレードは終了か
「物価上昇は通貨買い」と申し上げましたが、その前提は物価上昇を上回る利上げが見込める場合(実質金利の上昇)です。
今週、かなりのサプライズ感を持って受け止められたFOMCの結果ですが、ここまでの話を総合しますと、市場は筆者が考えていた以上にタカ派の情報発信だとみているようです。
一部のグローバル金融大手であるゴールマン・サックスやドイツ証券などは、顧客向けのレポートのなかで、EURUSDの買い推奨を取り下げています。
金融市場関係者のなかには、早くも「リフレトレードは終わった」とまで喧伝する者まで現れ、やはり今週前半のFOMC前とは市場の見方に大きな変化がでてきました。
(リフレトレードとは・・・将来のインフレを視野に入れたトレード)
こうしたことから、米国では10年国債の金利が低下する一方、政策金利の動向を反映する2年金利は、今週10bp(0.10%)も上昇しています。
FF(フェデラルファンド金利)先物市場からみても、2022年末で1.28回の利上げをすでに織り込むなど、今週金融市場は大きくこの先の見方を変えています。
実際にリフレトレード終了となると、ここまで対ドルで上げ幅を拡大してきたAUDUSD、NZDUSDを筆頭にEURUSDにも調整圧力がかかってくるはずです。
今週、じっくり考えていたこともあり少し出遅れましたが、来週以降、こうした通貨の戻り売りも検討したいと思います。
動画でも解説していますので、ご覧ください。
SmartLogicFX で配信した内容から抜粋しています。
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