【今週の注目】黒田体制最後の日銀金融政策決定会合

先週の動き
先週1週間の主要通貨の対ドルでの騰落は、2月上旬以降のドル高の調整から、全ての通貨が上昇に転じ、ドルは全面安で引けています。
上昇の上位よりNZD(+0.96%)、GBP(+0.87%)、EUR(+0.84%)、AUD(+0.65%)、CHF(+0.50%)、JPY(+0.46%)、CAD(+0.08%)と続いています。
先週は月末月初であったものの、イベント的には小粒なものばかり、短期的な方向性は示すものの、大きな流れを作るには至らずドル高局面の調整となりました。
(その分、今週以降ここから3週間のイベントの重要性が一層増して、かえって期待値は高まったといえます)
先週予想した値幅と実際の値幅
USDJPY
予想した値幅:380pts
実際の値幅:184pts
EURUSD
予想した値幅:214pts
実際の値幅:159pts
EURJPY
予想した値幅:340pts
実際の値幅:200pts
上述のように完全に調整の週、EURJPYに至っては2週続けて値幅は2円ちょうどと大変動はお預けとなっています
今週予想する値幅、68%/95%の下限/上限
USDJPY
予想する値幅:576pts
68%下限/上限:132.95/138.71
95%下限/上限:130.07/141.59
EURUSD
予想する値幅:226pts
68%下限/上限:1.0520/1.0746
95%下限/上限:1.0407/1.0859
EURJPY
予想する値幅:520pts
68%下限/上限:141.83/147.03
95%下限/上限:139.23/149.63
今週、イベント的には後述のように圧倒的にドル買いとなりそうなものばかり、そうしたなかで大きな変数となりそうなのが、現行の黒田体制のなかで最後となる日銀金融政策決定会合。
企業の決算期をむかえる3月末が迫るなか、為替市場に大きな変動を引き起こす政策修正は大多数の人が予想しませんが、オプション市場では大きな変動を織り込んでいます。
ドルを売る権利であるドルプットと買う権利であるドルコールの需給格差を測るリスク・リバーサルでは期間1週間で-3.61%まで急拡大、ダウンサイドへのヘッジが進んでいます。
値幅の概念、考え方はこちらの動画からご確認ください↓
今週の展望
まず、今週はFRBパウエル議長の半期に1度の議会証言が3/7の上院銀行委員会に続き、3/8の下院サービス委員会でも予定されています。
これまで、そしてこの先の金融政策運営に関して説明、議員らの質疑に応じるわけですが、2月の経済指標の上振れを受け、タカ派の内容で終わる可能性が高いといえます。
3/8には米国の1月のLOLTS(雇用動向調査)、要は求人件数が発表されますが、直近12月の結果は再び1100万件超えと一旦低下した求人件数には増加傾向がみられます。
3/8には金曜の米雇用統計の前哨戦ADP雇用報告、3/10には2月の雇用統計が発表されますが、1月の就業者の大幅増からやや反動(減)が予想されています。
NFP(非農業部門雇用者数)の増加幅で+20.0~22.0万人、失業率で前月と変わらない3.4%、平均時給の前年比伸び率でも+4.7%とこの通りなら再びドル買いが強まりそうです。
ただ、前月の1月の結果は特殊要因との声も多く、(可能性はほぼないですが)反動からNFPがマイナスとなると大きなサプライズとなります。
今週、大きな変数となりそうなのが、3/9-10の日程で開催される現行の黒田体制のなかでは名実ともに最後となる日銀金融政策決定会合の結果でしょう。
上述のようにメインシナリオで政策変更はなし、ただ、前々回の12/20の前例も存在するように、いまや誰も黒田総裁の言葉を信用していません。
そもそも、現在10年国債の変動幅を-0.50~+0.50%に設定するYCC(イールドカーブ・コントロール)の変動幅(バンド)の拡大は市場に織り込ませることは事実上不可能です。
新日銀総裁候補の植田氏はこれまでの国会での所信聴取では、持論を展開することは控えてきましたが、量的緩和の効果に疑問を呈しYCCの存在自体が副作用をもたらすとしています。
自身の任期満了後に修正されるくらいなら、男の花(華)道を飾る意味でも、これまでの政策の大半を手じまい、最終会合を終えても全く不思議ではありません。
ある意味、総裁や議長といったセントラルバンカーは退任に前に自身の政策を修正、手じまってから去ることで世に名を残せ、レジェンドと呼ばれるわけです。
YCCの年限の短期化(10年⇒5年程度)、バンドの拡大、一層の激震を伴う全撤廃の可能性は完全にゼロではなく、今週というより黒田日銀発足後のこの10年で最大の変数でしょう。
仮にYCCの全撤廃が発表された場合、前々回のUSDJPYの6円の急落程度では済まされない破壊力があると思います。
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