ドル円の鍵を握るのはドル金利

急速な円安注視
昨日は午後になって下記の黒田総裁のコメントが注目されています。
急速な円安注視、「政府と連携し適切対応」
日本銀行の黒田東彦総裁は20日、最近の急速な円安進行に対し、今後も市場動向を十分に注視し「政府と連携して適切に対応する」と語った。官邸で岸田文雄首相と会談した後、記者団に述べた。
黒田総裁によれば、首相からは特別な言葉はなかった。首相に定期的に世界経済と金融資本市場の動向を説明しており、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的推移が肝要であり、「急速な円安進行は企業の事業計画に不確実性をもたらし、好ましくない」と伝えたという。両者の会談は3月30日以来、3度目。
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「急速な円安注視」「政府と連携し適切対応」というのは当たり前の事です。
ただ金融緩和を続けている日銀が何を言っても矛盾します。急激な円安で大変だというのであれば、まずブレーキ(金融緩和解除)を踏めばいいだけです。仮にブレーキを強く踏んでも円安が止まらないのであれば次は介入という可能性がでます。
為替のレベルに関してですが為替は円高に行けば、輸出勢が困りますし、円安になれば、輸入勢から不満が出ます。ではということで105~115円で長期に渡って為替は停滞していましたが、それでも景気がよくなるわけでもありません。
結果、当局はあまり為替には介在しないほうがいいのではというのが個人的な意見。
(仮に当局もそう考えていたとしても、急速な円安に対しては注視しているぐらいは言っておかないと選挙には影響があるのかも知れませんので、そういう面でコメントするのは必要なのでしょう)
個人的に重視しているのは、ドル円の鍵を握るのはやはりドル金利の動向というのは変わらず。
タカ派に傾斜するRBA
話題をオセアニアに移行します。金利先物市場では、RBAが7月か8月に0.75ポイントの利上げを行う可能性を織り込みつつあります。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のチーフエコノミスト、リチャード・イエッツェンガ氏はブルームバーグテレビジョンに対し、「妥当な中心的予測だと考える。今週公表される議事要旨で、実際の0.5ポイントを上回る利上げ幅が検討されていたかどうかが分かるだろう」と語った。
議事要旨の公表に先立ち、ロウ総裁が同日に「インフレと金融政策」と題した講演を行う。同総裁は先週、インフレ率を目標レンジの2-3%に押し下げるために中銀は「必要な措置を講じる」と表明したほか、政策金利が現行の0.85%から2.5%に上昇すると予想するのは「妥当」だとの認識を示していた。
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RBAに関しては、今月のRBAでタカ派に変わった事を確認しており、そのため僕もリスクアセットを売るときは今回のようにどうしてもaussieではなくkiwiを選択しています。
ただaussieも株価が下落するとあっさり反落しますし、加えて豪ドルに関してはiron ore(鉄鉱石)が続落していることも懸念材料。
鉄鉱石先物が急落、シンガポールで8営業日続落-中国需要の期待後退で下落。中国の需要見通しを巡り悲観的な見方が広がり、河北省唐山市では高炉の稼働率が先週、5月半ば以降で初めて低下した。
シンガポールの鉄鉱石先物はこれで8営業日続落。中国の不動産市場低迷に加え、新型コロナウイルスの封じ込めに中国政府が手間取っていることが鉄鉱石の消費に打撃となっている。
先月は今回の感染拡大が和らいで中国の経済活動が直ちに持ち直すとの期待が幾分あったが、コロナ一掃に向けた定期的な大規模検査や新たなロックダウン(都市封鎖)を巡る根強い懸念がここにきて足かせとなっている。
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今のところはRBAがタカ派に傾斜していることや、株価が反発していることなどで、豪ドル円は94円台を回復していますが、どちらにせよ米株の行方が鍵をにぎっていると考えています。
英中銀マン氏、大幅利上げ支持を示唆
ポンド下落阻止に必要
20日の欧米市場では米株先物と欧州株が上昇。(NY市場は休場だったため米株は先物)
前週の大幅安の反動の流れでS&Pは1.1%上昇。
ECB (欧州中央銀) のラガルド総裁は7月と9月に利上げする意向をあらためて示し、仮に金融市場での緊張が高まっても当局のインフレ抑制に動く姿勢は変わらないことを表明。
イングランド銀行(英中銀)はインフレを押し上げるポンド下落を食い止めるため、より積極的に金利を引き上げる必要があると、マンMPC委員が主張したようです。
国内の価格上昇圧力は従来見込まれたよりも強い公算が大きいとも指摘。こちら(BOE)も通貨安は避けたいといったところ。
先週のSNB(スイス中銀)の0.5%の利上げも通貨安(スイス安)に懸念しているわけです。これまでSNBといえば「通貨高をなんとか阻止しようとする」傾向があったのですが、大きな変化です。
西原宏一のシンプルトレードで配信した内容から抜粋しています。
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