FOMC後の変化

FOMC後の動き
一昨日のFOMC( 連邦公開市場委員会)は市場予想通り、FF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を50bp引き上げて0.75~1.00%とする政策変更を発表しています。
同時にFRB(連邦準備制度理事会)が保有する国債などの資産に関しても、6月から毎月475億ドル(3か月後には950億ドル)削減するバランスシート縮小も発表しています。
FOMC後のFRBパウエル議長の会見では、「インフレは余りにも高い」としながらも「今後2会合は50bpの利上げ想定」、「75bpの利上げは積極的に検討していない」としました。
市場は次回6月会合での75bpの利上げをかなり織り込んでいたこともあり、この巻き戻しから金利は低下に転じました。
しかし、FOMCを通過後、インフレがピークアウトして金融引き締めは市場が想定しているより緩やかになる、「適温相場に戻るかもしれない」そんな思いは妄想で終わったようです。
昨日は米国時間に入り、10年債金利が3.1%台と2018年11月以来の水準に上昇、長短にかかわらず金利が上昇、FOMCの決定やパウエル議長の会見内容に市場は懐疑的となっています。
一昨日の浮かれたムードが一変、米株には寄付きから売りが集中、ダウはザラ場での下げ幅を一時1300ドルまで拡大、ナスダックは年初来安値を更新と再び売りが強まってきました。
為替市場ではドルが一転して買い戻され、USDJPYがアジア時間の安値128.76から昨日高値130.56まで上昇、EURUSDはポンド売りに連れ、昨日安値1.0493までの反落となっています。
利上げの織り込みの変化
今週の次回6月のFOMC会合での75bp(0.75%)の利上げの織り込みの変化を振り返ってみます。
FOMC前の5/3に95.6%、
FOMC後の5/4は何と0%、
昨日5/5は87.1%まで急回復と目まぐるしく変化しています。
市場は、パウエル議長の会見での「75bpの利上げが検討外」との発言を一旦信じたわけですが、市場の本当の見方は違っていました。かつて、24時間経過しないと本当の市場反応は分からない、と教えられたことがありましたが、実際の市場がみている方向性は昨日の動きだったのだと思います。
来週5/11に発表予定の米国4月のCPI(消費者物価指数)などで確認していくしかないのですが、仮にピークアウトしたとしても物価は高止まりに変わりありません。
やはり、景気を冷やしも過熱もしない中立金利(2.4-2.5%)になるべく早くもっていかなければいけない、市場の根底にあるのがこんな見方だと思います。
リスクオフ、リスクアバースなどリスク回避を意味する言葉がありますが、要は「既存のポジションを巻き戻す」動きです。
2年前のコロナショックの時、株価が急落となるなか、現金化する動きが加速、それでも足りず米国債まで換金売りされ金利が上昇、リスクオフのなかでドル買いとなりました。
円を取り巻く環境の変化もあり、ナスダックが年初来で-21.2%下落するなか、USDJPYは+13.0%の上昇と対照的な動きをみせています。
メインシナリオでは、株価下落でも金利が上昇するなら円安とみておきますが、市場反応はいつも同じではありません。柔軟に対処したいと思います。
米国4月雇用統計
市場が右往左往していることから注目度が低下していますが、本日は米国で4月の雇用統計が発表予定です。

失業率:3.5%
NFP(非農業部門雇用者数)の増減:+39.1万人
平均時給の前年比伸び率:+5.5%
以上が市場予想ですが、雇用関連指標は景気の遅行指標ですから、結果は良くて当然、ほぼ完全雇用ですから、この先にNFPの伸びは鈍ってきても不思議ではありません。

このなかで、平均時給の前年比伸び率が一段と加速してくるようだと、金利上昇、株価大幅調整という2018年2月(1月分の発表)の株価の急落がよみがえります。注意しておきます。
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