10数年ぶりの緊張感FOMC

FRBの2大責務
米国のCPI(消費者物価指数)が約40年ぶりの水準に上昇、バイデン政権の支持率が急低下、中間選挙までにある程度結果を出さなければならない現状から考えてみましょう。
まず、中央銀行であるFRBの2大責務はデュアルマンデートと称される「雇用の最大化」と「物価の安定」です。
このなかで、雇用の最大化は12月の雇用統計で失業率が3.9%まで低下とほぼ完全雇用の水準。
一方で物価の安定、CPIは前年同月比で+7.0%で上昇、誰の目にも物価が安定していないことは明白です。

経済状態の過熱
今週1/25-26のFOMCではかなりタカ派(後述)の会合と予想され、3月の利上げ開始や年内のFRBの資産圧縮(バランスシート縮小)が確実視されています。
では、2000年代と2010年代の21世紀に入ってからの米国の過去2回の引き締め局面、利上げ開始時の経済環境を振り返ってみましょう。
利上げ開始の年月、失業率(%)、CPI(%)の順に、
2004年6月、5.6%、+3.3%
2015年12月、5.0%、+0.7%
2000年代は合計17回の利上げで425bp(4.25%)の利上げ、
2010年代は同様に9回で225bpの利上げを実施しています。
政府主導の経済対策や失業対策もあり、今回の経済状態がいかに過熱している状態かがお分かりいただけるでしょう。
さて今週のFOMCで3月の利上げを示唆したところで、この3/15-16のFOMCまでには『2回の雇用統計とCPIの発表』があり、残された10か月で結果を出すことを前提にすると…。
考えられるシナリオ
(1)3月利上げ示唆、テーパリング3月終了、バランスシート縮小議論開始
バランスシート縮小議論開始で、テーパリングを続け3月終了というのはかなり矛盾します。
そこで浮上してくるのが、以下のタカ派シナリオです。
(2)3月利上げ示唆、テーパリング即時終了、バランスシート縮小3月開始
(3)3月利上げ示唆、年内5回以上の利上げ示唆、テーパリング即時終了、バランスシート縮小3月開始
(4)3月以降の全ての会合7回の利上げ示唆
(5)3、6、9、12月で50bpずつの利上げ
(6)今回のFOMCで25bp利上げ、年内8回の利上げ示唆、テーパリング即時終了、バランスシート縮小3月開始
ただ市場の織り込みをみると、年内5回の利上げが主流になり、ここまで市場がみてきた年3-4回の利上げ見通しは急速に薄れつつあります。
政権の期待に応え、FRBへの批判をかわすとなると、現実的に(1)では弱すぎ、最低でも(2)が必要、(3)位がメインシナリオでしょう。
市場の期待インフレ期待をつぶすのであれば、(4)以上が必要、ただあくまでリスクシナリオ、CPIの伸びが一時的だった場合、釈明がつきません。
いずれにしても、ナスダックを始め、金融市場が動揺し始めているのではこれまでの引き締めが後手に回っていた(ビハインド・ザ・カーブ)が意識されたからでしょう。
かつてFRB議長を務めたイエレン財務長官は高圧経済を主張する労働経済学者ですが、ここまでのインフレを放置したことで政権の支持率を一段と下げるかもしれません。
近年、おそらく10数年ぶりの緊張感を持ってむかえるFOMCとなります。
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